毎日の成長痛が心地良い。自身の成長とカスタマーサクセスに向けて奔走する、コマーシャル営業のリアル

お客様の成長が、自身の成長につながる。

SaaS企業の中で共通認識として定着している「カスタマーサクセス」。その提唱者として「ビジネスは社会を変えるための最良のプラットフォームである」という考えの元、顧客中心のビジネスを実現する多彩なソリューションを提供しているのが、セールスフォース・ドットコムだ。今やクラウド型CRMプラットフォームの分野でその地位を不動のものとし、今なお成長を続けている。

今回は、コマーシャル営業で自身の成長に奮闘する小畑亮二と相島美里に話を伺う。二人はアカウントエグゼクティブとして営業の最前線に立ちながら、カスタマーサクセスの実現に向けて奔走している。コロナ禍で激変する顧客環境の中、セールスフォース・ドットコムではどのような変革が求められているのか。同社の持つ成長のためのドライバー、カルチャーや仕組みに迫った。


経営者に対して直接提案できることの魅力

ーーお2人のこれまでのキャリアを教えてください。

小畑亮二(以下、小畑):大学卒業後、前職では複合機などを販売する会社で新規開拓の営業を7年間行っていました。AwardやNo.1の受賞もでき、正直転職を検討はしていませんでしたが、先に入社していた後輩からの声がけもあり、2017年に入社しました。

相島美里(以下、相島):私は新卒入社した日系大手ITベンダーで3年間はプリセールス、その後に製造業のエンタープライズ向け営業を3年間務めました。直近は展示会主催会社の営業として勤務。2020年に入社し現在に至ります。

ーー転職を考えたきっかけは?

小畑:大前提として前職の環境も素晴らしく充実した日々でした。そんな中でもお客様の経営に大きなインパクトを与える仕事ができているのかどうか、疑問に思うようになったからです。業務内容はIT導入による業務効率化やコスト削減が中心、ソリューション営業を掲げながらも「省力化の営業」でした。

一方、セールスフォース・ドットコムでは、経営者や役員に対して「ビジネスを加速させるために必要な仕組みとは」「御社の強みを活かした競争戦略とは」と、経営者の視点でお客様の成功に必要な手段や方法を考えるスキルが求められます。このように「お客様の成功」を一番に考える企業がある事実を知った際に、私もお客様を成功に導けるような営業に成長したい、チャレンジをしたいと転職を考え始めました。

小畑亮二
コマーシャル営業 第1営業本部 第5営業部 アカウントエグゼクティブ。大学卒業後、複合機メーカーの販売会社にて7年半新規開拓の営業を経験。2017年10月セールスフォース・ドットコム入社、インサイドセールスを1年経験した後、アカウントエグゼクティブとして首都圏エリアでのスタートアップ〜中堅企業向け営業を担当。

相島:1社目でエンタープライズ向けの提案営業をしていた当時は、4~5人の営業チームで1社に対してご提案するスタイルだったため、普段接するお相手はIT部門というケースがほとんど。経営者や役員も同席されるお打合せの際には、システムに詳しいSEや経験豊富な営業部長にやりとりをお任せすることが多く、歯がゆい日々でした。大企業の中で営業部長クラスまで出世するには、そこから倍は生きないと機会が得られないし、このまま周りに頼りっぱなしの営業で良いのか。そんな焦りを覚え始めたのは20代半ばの頃。もっと自分自身で経営者に提案出来る力を早く身につけたいと、外資系の展示会主催の会社へ転職しました。

2社目では展示会出展社の8割以上が中小・ベンチャー企業。勢いのある会社が多く、みな素晴らしい経営理念を持っていて、世の中を変えうる製品やサービスに感動する機会に恵まれました。

ただ、コロナ禍以降は多くの企業が事業継続のためIT化を余儀なくされる一方で、まだまだアナログであることに困っているお客様も多く、自分自身のIT企業での営業経験と経営者への営業経験を、よりお客様に対しての提案へ活かせる仕事へキャリアを変えていこうと決断しました。

相島美里
コマーシャル営業 第2営業本部 第5営業部 アカウントエグゼクティブ。大学卒業後、日系大手IT企業にてインフラのプリセールス・製造業担当営業を5年半。その後、BtoB向け展示会 最大手企業にて、医療・介護の展示会の企画営業。2020年6月セールスフォース・ドットコム入社、アカウントエグゼクティブとして首都圏エリアでのスタートアップ〜中堅企業向け営業を担当。面接・研修・お客様への営業活動、すべてリモートで今に至る。

ーーでは、なぜセールスフォース・ドットコムを選んだのでしょう。

小畑:前職で、Salesforceが導入されたのが興味を持つきっかけでした。特に印象に残ったのが「カスタマーサクセス」というコアバリュー。セールスフォース・ドットコムでは、お客様のビジネスの成功にコミットすることを謳っていて、実際に事業もすごく伸びていました。「成長している会社に飛び込めば、必ず自分も成長できる!」と確信し、入社を決めました。

相島:セールスフォース・ドットコムについては、転職する3年ほど前に友人を介して採用イベントに参加したときに知りました。当時から社員がみなパワフルでアットホームな会社という印象で、自分に合いそうだなと感じていました。最終的には顧客満足度が売上に直結するビジネスモデルであるSaaSベンダーのトップ企業ということもあり、「これまでのキャリアを複合的に活かしつつ、目の前のお客様の満足度を高められる営業になりたい!」と思い、転職を決めました。

「協力と感謝の文化」が根づいている

ーー実際に入社してみて、印象は変わりましたか?

小畑:いい意味でのギャップがたくさんありましたね。当社は企業文化を象徴する言葉の1つとして「Ohana(ハワイ語で家族)」を掲げています。入社前はそれに対して正直うがった見方をしていました。「外資だし、厳しく閉鎖的な環境もあるのでは……」と思っていたんです。ところが全く逆で、お客様のことを考えるにあたり、常に周囲が協力する文化が根づいていたんです。

例えば、提案内容について誰かにアドバイスを求めると、お客様の課題解決に至った背景や成功事例、ノウハウなどをすぐに教えてくれる。セールスフォース・ドットコムには多様な業種や業界からの転職者が多いのですが、多様性をつなぐメンバーや仕組みがあるため、あらゆるバックグラウンドを持つ人たちが存分に力を発揮できる環境があるのです。

相島:私も小畑と同じ感想です。私が入社1カ月目の時に「トップセールスが商談の場で実践していることを学びたい」と小畑に商談同行をお願いしましたが、初対面にもかかわらず快く承諾してくれました。

この例に限らず、セールスフォース・ドットコムには協力しあう文化が根づいている。前向きに取り組みたい人にどんどん惜しみなく機会を与える環境が整っているんです。

加えて、「成長できる道筋が多い点」も重要なポイントだと思います。外資系企業なので、当然厳しい環境で失敗が許されないのではないかと最初は構えていましたが、そんなことはありませんでした。

それどころか「受注できてもできなくても、振り返ることが大切」と本部長自ら声をかけてくれる。結果だけでなくプロセスを振り返り、次の機会に向けて改善するならどうしたらいいのか「結果に再現性を持たせ、工夫して商談を進められるように」促してくれるんです。

成長のための道筋がたくさんあり、その人に合ったチャレンジの仕方をマネージャー、本部長、SEなど皆が伴走して支援してくれるのはとてもありがたいですね。

ーーなぜ、そうした支援が継続できているのでしょうか。

小畑:情報を共有してくれたメンバーに対して「お互いに感謝を示す文化」の存在も大きいと思います。例えば、オンラインのチーム用投稿スレッドなどチームのみんなが見える場所に「こういう案件で助けてくれてありがとう」などとコメントが入ると、みんなが「いいね」をしてくれます。協力の手を差し伸べればそれが周囲に伝わり、自分自身も評価を受ける。「褒める文化」と「協力する文化」の両輪で回る仕組みがあるんです。

お客様が描ききれていない先の未来まで一緒に描く

ーーおふたりは普段、どのように業務を進められていますか?そこで感じている課題についても教えてください。

小畑:中堅・中小企業の抱える課題の本質を捉え、セールスフォース・ドットコムのソリューションで解決することが私の業務です。現在、取引先はいわゆる急成長を遂げているベンチャーが多く、どのお客様も変化のスピードがとても早い。

特に最近ではコロナ禍で、否応なしに企業は変革を迫られています。社外に対しては、直接対面しにくい状況下。顧客とどのように関係性を強化・維持していくべきかを悩まれているお客様も少なくありません。一方、社内に対しては、在宅ワーク導入を進める中で、自社へのエンゲージメントをいかに高めるかに腐心されています。

それに対して私たちは「どうやったらお客様が顧客から選ばれ続ける」か、日々お客様の強みにフォーカスし、課題を突き詰め、解決のための仕組みづくりをご提案しています。

相島:私のミッションや業務内容も小畑と同じです。

特に今は、どの企業もコロナ禍でデジタルシフトが急務になっています。変革に乗り遅れて事業が立ち行かなくなる企業も少なくありません。そんなお客様の変化やチャレンジを後押しすることが、今私たちに求められています。

そして、お客様の描いている世界観を実現し、その先の未来までイメージできるようご提案し、その実現方法を一緒に考えることが大切だと思っています。

そのためにも我々の部門で求められている3つの力が特に重要だと考えています。

1つ目は「コンサル力」。お客様のビジネスモデルを理解し、業界動向や他社の成功事例などから、お客様の在りたい姿を示す力です。

2つ目は「SE力」。当社の扱っている製品の特性上、お客様のニーズに合わせてどんどんカスタマイズし、システムを改善させていく必要があります。営業は、伴走してその一端を担うことが求められます。

最後は「営業力」。ここでいう営業力とは、製品・サービスを売り切ることではなく、お客様自身がSalesforceを活用し、効果を出していただけるようにすること。特に入社2年目の私は、お客様のビジネス課題やSalesforceの活用事例をもっと知る必要があります。

もちろん「売って終わりではない」仕組みは、営業にとってもいいことなんです。カスタマーサクセスを標榜する当社なら、お客様の在りたい姿に向かっていく過程も担当営業としてご支援ができる。お客様もいい担当営業に巡り合うととても喜んでくださる。そこにやりがいを感じます。

コロナ禍でデジタルシフトが急務になり、変革に迫られているお客様が増えている。この重要な局面において、「お客様の変化やチャレンジを後押しすることが、今私たちに求められている」と使命感に燃える。

ーー小畑さんは、どんな時にやりがいを感じますか?

小畑:あるお客様の担当者が、Salesforceの導入後に半年ほど経ってから「会社でMVPを取りました!」とご報告をいただいたときは嬉しかったですね。「新規の事業を始めるから相談に乗ってくれないか」と、かつて担当していたお客様からご連絡をいただときにも、やりがいを感じました。

中でも一番嬉しかったのは、素晴らしいビジョンと経営によって資金調達に成功されたお客様から「今年の一番のビジネスの成功はSalesforceを導入したことだよ」と言われたことですね。当然、Salesforceだけが要因ではないことは理解していますが、代表からこんなことを言ってもらえるのは営業冥利につきますし、励みになります。

心地良い「成長痛」を感じられる

ーーでは逆に、おふたりが最初にぶつかった壁は?

相島:お客様のビジネスを深く理解することが壁でした。お客様の目指す姿と自社のソリューションをどう結びつけるか。楽しさはありつつも、お客様の課題を解決できる仮説が浮かばないという苦労はしましたし、今も正直かなり時間をかけて考えます。

小畑:私も壁ばかりです。それこそ入社当初はパワーポイントで提案のスライドを作ることも覚束ないところから始めていますから(笑)。弊社では、「お客様の成功とは?」「 お客様の提供しているサービスの価値を一言で話すと何?」など、言語化する力が常に求められる。

こうした力は上司の協力の元、壁打ちを毎日してもらう中で少しずつ培ってきました。テニスのラリーのように壁打ちして、届くか届かないかの絶妙な質問の球が飛んでくる。打ち返せない毎日の中でやがて返せるようになる。それが最初の壁かもしれません。

形ばかりでなく、お客様のビジネスを真に理解することが本当に重要で簡単なことではない、だからこそ成長と充実を強く感じます。

「入社当時は壁ばかりだった」と笑いながら語る小畑。アカウントエグゼクティブとして営業の最前線に立つ中で、言語化する力を培ってきた。

ーー入社してよかったと思うことは?

相島:良い意味で「自分はまだまだだ、もっと頑張ろうと毎日思わせてくれる環境がある」ことです。前職でそれなりに結果を出してきたこともあり、恥ずかしながら入社前は、営業として成果を出すことに対して正直自信がありました。ところが、セールスフォース・ドットコムに入社してみると、本当に優秀だと思える人がたくさんいました。当社では「営業として成果を出す」ということは、必ずしも「売上を上げる」ということだけを意味しません。再現性のある方法で売上を上げることと、お客様のビジネス成長に貢献することを両立されている先輩を見て、自分が今まで井の中の蛙であったことを思い知らされました。

もう1つ、「山の登り方は100通りある」ことにも気づかされました。みなさん、自分の持ち味やキャラクターを理解した上で、当社の手法を基にしつつ強みを活かしている。「私も早くここに到達したい!」と常々感じています。だから今は「成長痛」を感じている真っ只中で。逆に言えば容易にクリアできない分、これからもっと伸びていけるのではないかという確信があります。

小畑:成長痛っていいですね(笑)。今までの経験が通用しない、学習しないといけない、ものすごく凹むことは今もありますし、そんなときこそ伸びしろと捉え、できなかったことができるようになる。毎日ワクワクして、まるで宇宙船に乗ってどこかへ連れて行ってくれているような感覚。お客様へ「こんなことを考えてきました、いかがですか」「ああ、すごいね、やってみたいね!」などとやり取りすると、ワクワクします。これは当社で働く醍醐味ですね。

お客様に憑依するつもりで、本気で向き合う

ーー「お客様の成長」とひと口に言っても、それぞれの課題は異なると思います。そこにどのように向き合っていますか。

相島:私の場合は「お客様に憑依する」かのようにお客様の立場で物事を考えるようにしています。たとえば、自分がお客様の会社で営業部長として配属されたとしたらまず何に取り組むか、それをイメージした上で提案を持っていきます。

お客様のビジネスにとって成長が必要だからこそ、時には耳の痛いことを指摘しなければいけないことも出てくる。場合によっては、弊社以外のサービスでも解決可能な観点を提案することもあり得ます。逆に「自分だったらお客様の製品をどう売るか」を考え抜くことで見えてくるお客様の強みもある。自分がお客様に憑依する気持ちで考え抜くからこそ、わかることがあると思っています。お客様の成長を本気で考えることで、お客様に自分の成長を後押ししてもらっている、そんな感覚があります。

ーーそうした自身の成長を通じて、どこが一番変わりましたか?

相島:経験という意味での「自分の貯金」を切り崩して生きていく感じはなくなりました。セールスフォース・ドットコムの営業は、昨日より今日、今日より明日と日々レベルアップが求められています。お客様ががんばっている1日を、自分が怠けてしまったら提案と支援の幅が減ってしまう。そう考えるようになってから、毎日高速でPDCAを回し、1日単位で振り返ることで成長を実感できるようになりました。

小畑:経験を積むことにより自身の市場価値も少し高まったとは思いますが、それ以上に思考の選択肢が広がりました。これまでは「目の前の数字をこなしてトップセールスになりたい」のような目標だったのに、今は「近い将来、世界で通用するような日本のベンチャー企業のビジネス成長に貢献したい」と考えられるようになりました。

自分がおじいちゃんになったとき、孫へ「この会社の成長期に携わって、支援していたんだよ」と語るのが夢のひとつです。「どうしたらこの会社は幸せになれるか」を考えられるようになってからは、とても充実感があります。

顧客の成長をイメージできた時、自分も成長している実感がある

ーーセールスフォース・ドットコムにおける成長とは何でしょうか?

小畑:お客様の成功を強くイメージし、そのために必要な道筋と仕組みをご提案すること。「こうなればお客様が成功できる」「お客様の事業に変化が起きる」というイメージが広がり、より一層ビジョンが見えるようになること。それが当社で得られる成長ではないでしょうか。

相島:目の前の人がさらに生き生きと働けるようになる。私と出会ったことで人生がいい方向に変わったり、Salesforceの活用が進むことでお客様が社内で評価されたりして、前向きな気持ちになっていただけること。また、お客様から感謝の言葉をいただけたときに、自身の成長を実感します。

加えて当社はフィードバックをもらえる仕組みができており、決して自己満足に陥りません。活動量も商談の進捗も常にシステム上で可視化されています。1on1ミーティングでマネージャーと話す機会や、マネージャーが各メンバーの良かった事例を毎週紹介してくれる機会があることで、他者から見た自分の成長を知ることができます。

伸びしろを感じられるからこその「成長痛」。顧客の成長を強くイメージすることで、一つひとつの行動を変容させ、自身の成長の実感につながる。

ーーおふたりが今後、成し遂げていきたいことは?

相島:担当している会社がエンタープライズ企業の規模にまで成長されていく過程で、自分も一緒に成長を続けていきたいです。たとえば10年後、名だたる日本の大手企業と並ぶようなお客様が、自分の担当していた企業から出てきたら嬉しいですね。

一方で、自分のキャリアの幅を広げるという観点で、営業以外の職種にも興味を持っています。自身がその時やりたいことやライフイベントに合わせて働く環境を柔軟に変えていきつつも、どの職種でもお客様の成功を第一に考えられるのが「カスタマーサクセス」をコアバリューとして掲げる当社のいいところだと思っていますので、そのタイミングに合わせた形でキャリアを検討していきたいと考えています。

小畑:ビジネスに貢献し、私が担当しているお客様の中で、公開できる成功事例を1社でも多く作りたい。また、入社して自分が感じた変化や充実感ある経験を社内で還元できる立場になり、一人でも多くの若手の成功を支援できる人間になりたいですね。

  • TEXT BY VALUE WORKS
  • PHOTOS BY 吉田和生
  • EDIT BY 瀬尾陽(Eight Career Design)
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