資産運用サービスにとどまらない。「働く世代」のための金融プラットフォーム・ウェルスナビが、新規事業で目指す未来

全自動で手軽に資産運用ができるロボアドバイザーサービスを軸に急成長中のウェルスナビ。2015年の創業から7年が経った現在、預かり資産は6000億円(※1)を突破。30万人(※2)を超える「働く世代」の資産形成を担っている。

Fintechスタートアップとしてすでに一定の地位を築いた企業のようにも見えるが、同社の見解は外部の印象と異なるらしい。

新規事業責任者の西村健太郎は、「ウェルスナビはまだスタートラインにすら立っていない」と語る。
西村は新卒でSIerに入社しエンジニアとして経験を積んだ後、GREEやAmazonでプロダクトマネジャーを担当。15年にわたりIT業界で積んだ経験を携えて、2020年2月にウェルスナビに転職した。「一生をかけるに値するサービス」と感じたことが、入社の決め手になったという。

ウェルスナビで働く醍醐味はどこにあるのだろうか。複数のインターネットサービスに携わってきた西村が当社を選んだ理由、新規事業責任者として描くウェルスナビの未来について聞いた。


「人生をかけるに値するサービス」だと感じた

ーーまず、西村さんのウェルスナビへの入社経緯を教えてください。

前職では多くの人に使っていただくプロダクトを担当し、素晴らしいサービスが生活を豊かにし、世の中を変えることができるという喜びを実感することができました。

その経験から「次の会社ではまだ世の中に知られていない、人のためになるサービスを広げる仕事がしたい」と思ったときに、最初に頭に浮かんだ会社がウェルスナビでした。知人が働いていたので、同社のことは転職する数年前の2016年頃から知っていたんです。

当時のウェルスナビはβ版サービスの提供を始めたばかりで、お客様の数は現在に比べるとかなり少ない状態でしたが、サービス内容について説明を受けた瞬間、「これはAmazon並みに世の中に広まるべきだ」と感じました。自分の人生をかけるに値するサービスがここにあると思いましたね。

西村健太郎(にしむら・けんたろう)
WealthNavi プロダクトマネージャーSIerにてエンジニアを経験後、GREEにてソーシャルゲーム開発やGREE Chinaの立ち上げを経験。その後Amazonにてプロダクトマネージャーを務め、2020年にウェルスナビへ入社。ウェルスナビでは新規事業の責任者を担当。

ーーなぜ「ウェルスナビは人生をかけるに値するサービスだ」と思ったのでしょうか?

働く世代は仕事で忙しかったり、相談できる相手が身近にいなかったりして、老後に向けた資産形成はどうしても後回しにしてしまいがちですが、老後2000万円問題が社会課題として注目されたように、本来は誰もが向き合わなければいけないことのはずです。

私自身もウェルスナビに入社するまでは金融の知識がほとんどなく、「投資は面倒臭いもの、できるだけ関わりたくないもの」と思っていたので、「働く世代に豊かさを」というミッションには強く共感しました。

移り変わりの激しいインターネット業界の中で、「WealthNavi」はお客様の老後の資産形成に向けて数十年使っていただくことを想定した、非常にユニークな立ち位置のプロダクトです。
プロダクトマネージャーとして10年20年続くプロダクトに携わり、アップデートを積み重ねることで素晴らしいサービスに進化させていきたいと思いました。

また代表の柴山と話す中で、「利益を追求するためではなく、本当にお客様の課題を解決するために起業した人なのだな」と感じたことも、入社の決め手の一つです。

ーー入社後、ウェルスナビに対してどのような印象を持ちましたか?

非常に成長力があると感じました。私が入社した時点で預かり資産は2000億円前後だったのですが、そこから6000億円を突破するまでは本当にあっという間でした。

主な理由の一つとして、時代のニーズに即した、多くのお客様が求めているサービスであることが挙げられると思います。今も利用者数は着実に伸びていますが、もっとたくさんの人に使ってほしいと心から思っています。

「働く世代」と数十年にわたる信頼関係を築くために

ーー創業から7年、ウェルスナビのサービスは現在どのようなフェーズにあるのでしょうか?

預かり資産は現在6000億円を突破し、ロボアドバイザー市場での成長シェアは70%強を占めています(※3)が、日本におけるロボアドバイザーの潜在市場は18〜27兆円(※4)と考えており、そういう意味では我々はまだスタートラインにすら立っていないと考えています。まずは預かり資産1兆円を達成することが、我々のミッション達成に向けてのスタート地点だと考えています。

ーースタート地点である「預かり資産1兆円」を目指す上で、お客様にどのような価値を提供していく必要があると考えていますか?

お客様やそのご家族の生活を豊かにすることです。ウェルスナビを使えば、資産形成について自分で勉強するために必要だったであろう時間をもっと有意義なことに使えます。長期にわたって安心して資産を預けていただくことで、お客様には金銭だけでなく、時間にもゆとりを持てるようになってほしいと考えています。

お客様からいただく「ウェルスナビを使うことによって家族と過ごす時間が増えました」という声は、最も嬉しいフィードバックの一つですね。

ーー長期にわたってお客様との信頼関係を築くのは、とても難しいことだと思います。安心して資産を預け続けてもらうために、どのような取り組みをしていますか?

お問い合わせに真摯にご対応するのはもちろんのこと、お客様が不安を抱えやすいタイミングでの適切な情報発信に気を配っています。

多くの方が資産運用の継続に不安を感じた2020年のコロナショックの際は、「『長期・積立・分散』の資産運用を続けていると今回のようなことは必ず起きるもの。それでも慌てずに継続することが大切です」といった内容のコラムをスピーディーに公開しました。

不安に任せて運用を中止したり、必要以上に出金したりしてしまうと、「長期・積立・分散」投資による資産形成はうまくいきません。お客様が失敗してしまうことのないように、今後も社会情勢やお客様の気持ちを踏まえたコミュニケーションを丁寧に行っていきたいと思います。

ーー西村さんは新規事業担当者とのことですが、ウェルスナビを今後どのように成長させていきたいと考えていますか?

資産運用だけではなく、保険や住宅ローン、クレジットカードなどお客様の幅広いニーズに対し、第三者としてアドバイスを提供できるプラットフォームを目指していきます。

WealthNaviは老後に向けて数十年使っていただけるサービスであり、お客様と長くお付き合いできる点が強みです。加えて、第三者の資産運用会社の商品を、お客様にとってベストな形で組み合わせて提供しています。第三者のアドバイザーとして、お客様にとって適切なサービスを提供できる存在になりたいと考えています。

お客様が不安を抱えやすいタイミングでの適切な情報発信にはとりわけ注力している。丁寧なコミュニケーションを行うことは、安心して資産を預け続けてもらうための当然の責任なのだ。

今までにない金融サービスは、“異業種混成チーム”から生まれる

ーーウェルスナビのサービスを開発するメンバーには、どのようなバックグラウンドを持つ方が多いのでしょうか。

金融機関出身者は多いですが、自分のように他業界から来た人もたくさんいます。私が所属しているチームメンバーの出身業界は、Eコマース、ゲーム、銀行、保険会社とバラバラです。チームは基本的に金融業界出身者と他業界出身者の混成で形成されます。

ーーなぜそのようなチーム編成にしているのですか?

金融業界出身者の目線と他業界出身者の目線をクロスさせることによって、シンプルかつ金融サービスとしての品質の高いサービスをつくれるからです。

ウェルスナビのサービスの特徴の一つとして「引き算の発想」があげられます。ここには金融以外のインターネットサービスにも数多く触れてきた他業界出身者の目線が活かされています。

例えば資産運用サービスは、購入額や購入するタイミング、購入する銘柄などを全部自分で決められるサービスが多いと思いますが、「WealthNavi」でお客様に選んでいただくのは、入出金の時期と金額ぐらい。余計な機能をつけないことによって、サービスを使いやすくしているのです。

では金融業界の出身者は必要ないのかと言うと、もちろんそんなことはありません。金融サービスの守るべきルールを遵守するためには、金融に詳しいメンバーの目線が不可欠です。

ーー合理的なチーム編成だと思いました。多様なバックグラウンドのメンバーが集まるウェルスナビで、新たに入社するメンバーはどんな体験ができますか?

ものづくりの面白さを存分に味わってもらえると思います。当社ではエンジニアやデザイナー、プロダクトマネジャーなどが一つのチームを組んでサービスを開発しているので、どのメンバーもお客様のためにやるべきことを自ら提案できます。小さな組織だからこそ意思決定のツリーがシンプルで、クイックに動けるのも強みです。

ーーこれから一緒に働くメンバーに何を期待しますか?

お客様の課題を解決するためにサービスをつくってほしいと思います。
そのためにはまずは、自分が本当に使いたいと思うサービスをつくってほしいなとも思います。誰かを幸せにする前に、まずは自分自身を幸せにする。その経験をもっと多くの人の課題解決につなげるにはどうしたら良いか?という考え方ができる人は、モチベーションを高く持って働けると思います。

お客様の課題を解決するためのサービスづくりは、最終的には自分自身を幸せにするためのものであってほしい。様々なサービスの成長に携わってきた西村がたどり着いたひとつの解なのかも知れない。

(※1)2021年11月時点
(※2)2021年12月時点
(※3)2021年12月期通期決算説明資料より
(※4)2021年12月期通期決算説明資料より

  • TEXT BY 一本麻衣
  • PHOTOS BY 吉田和生
  • EDIT BY 瀬尾陽(Eight Career Design)
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