挑戦が市場を作る──インターネット広告の“枠”を拡大し続けるサイバーエージェントが向かう先

「広告効果を最大化する」を合言葉に黎明期からインターネット広告業界を支え、現在はインターネット広告事業において国内トップシェアを誇るサイバーエージェント。ダイレクトマーケティングからブランド広告、さらに昨今は企業のDX推進など広域に事業を展開するサイバーエージェントが見るインターネット広告の未来と、目指す世界とは。上級執行役員の石井洋之に話を聞いた。


広告価値を最大化し、市場開拓を続けてきた20年

──はじめに、インターネット広告事業部のミッションと役割について教えてください。

サイバーエージェントのインターネット広告事業本部は、2000年代から「広告効果を最大化する」というミッションを貫いてきました。

リスティング広告やインフィード広告の、運用から獲得に至るまでのダイレクトマーケティングソリューションをベースとして事業を展開し、2010年代からはブランド広告にも寄与するようになりました。

さらにニーズの高まりを受けて小売業界の販促関連の広告事業にも着手し、近年はAI技術の研究開発から提供まで、また企業のDX推進にも貢献するなど、広告効果の最大化を広義に捉えたあらゆる領域へと事業を展開しています。

──経営陣の根底にある想いを教えてください。

私自身を含めサイバーエージェントの経営陣には、インターネット広告業界のプレイヤーとして走り続けているメンバーが集っています。私たちがサイバーエージェントに入社した2000年代当時は1000億円にも満たなかったインターネット広告市場が、いまや3兆円もの規模に成長。近年はインターネット広告がマス広告を凌駕し、国内の広告市場において最も影響力をもつ存在となりました。こうした成長を振り返れば、私たちが挑戦し続けてきたことがこの市場拡大の一端を担っているという自負があります。

私たちはこの20年間、常に「インターネット広告市場をどう拡大していくか」という意識で臨んできました。想いは現在も変わらず、その問いに対する最適解を導くための意思決定を積み重ねています。

石井 洋之( いしい・ひろゆき)
株式会社 サイバーエージェント 上級執行役員 2002年に株式会社サイバーエージェントへ新卒として入社。2007年にSEOに特化した株式会社CAテクノロジーを立ち上げ代表取締役社長に着任、3年間で市場No.1へ成長させる。2015年、株式会社シーエー・モバイル代表取締役社長に就任。「ZONE戦略」を掲げ、独自の組織マネジメントや新規分野への参入に取り組み、3年間で250%の成長率を実現し会社の再建を成し遂げた。2018年より株式会社サイバーエージェント上級執行役員(現任)の職務に就く。2021年10月からはインターネット広告事業本部管掌として、更なる挑戦を続ける。

「企業が信頼できる存在」としての揺るがぬ信頼を得るために

──インターネット広告の進化の過程を見てきた石井さんですが、現在インターネット広告をどのように捉えていますか。

今やインターネット広告は、各企業にとって「企業経営に大きな影響を与える存在」になったと思います。黎明期のインターネット広告は、いわばテレビコマーシャルの“おまけ”でした。広告宣伝費の予算全体に占める割合も100分の1、1000分の1という程度です。それが今では、広告宣伝費の半分をインターネット広告に投資する企業も珍しくありません。インターネット広告に対する企業の向き合い方が変わったというのが、まず感じることです。

加えて、昨今は広告の枠を超えた戦略が必要となっています。例えば、アプリを通じたユーザー体験なども含めた見直しを進めなければ、事業やサービスそのものが淘汰される時代と言えるでしょう。コロナ禍はEC対応の必要性をさらに高める要因となっており、顧客のデジタル移行に拍車をかけています。インターネット広告のみならず、「デジタルで勝つ」という機運が企業の間で高まっています。

──そうした時代に、サイバーエージェントが提供している価値を教えてください。

一つは、サービスやソリューションの幅そのものを広げていることによる価値の提供です。例えば、最近立ち上げた「データ維新局」という新組織では、お客様のデータを広告配信やCRMに活かすためのデータ整備や利活用を専門としています。もともとデータ分析や活用はサイバーエージェントの得意分野でしたが、お客様の広告効果をより高めたり、さらなる効率化を図ったりすることが可能になりました。さらに、AI技術を活かしたクリエイティブツールやプロダクトも扱っており、お客様のデジタル戦略を広域でカバーできる体制が整っています。

もう一つは、ABEMAやウマ娘など自社コンテンツをもっていることです。これらの主力コンテンツはお客様からも認知度が高く、「ABEMAみたいなものが作りたい」という要望をいただくこともありますし、逆にこちらから「ABEMAに携わったメンバーがいます」といったアプローチをすることもできます。このようにBtoCサービスで生まれた価値をBtoBに展開していく戦略を打ち出せるのも、市場価値の高い自社コンテンツをもつサイバーエージェントの価値だと思います。

──インターネット広告の枠にはとどまらない事業展開をされている印象です。サイバーエージェント自体は何の会社と言えるのでしょうか。

一番は、「お客様の事業を伸ばす会社」だと感じてもらいたいですね。不安定な社会情勢の中で、どの業界の企業も生き残りを賭けて戦っています。私自身、多くの経営者と話す中で、その過酷さを実感しています。サイバーエージェントは、そんな企業の真剣勝負のパートナーとして伴走する、企業にとって信頼できる存在でありたいです。そのために、サイバーエージェント自体も成長し続けなければなりません。

「何の会社か」「どんな業種か」という枠に捉われることなく、お客様の望む結果に向けて伴走する

──お客様がサイバーエージェントに抱く印象や、サイバーエージェントが選ばれる理由を教えてください。

お客様からは期待を超える提案を出す会社という印象をもっていただけているのではないでしょうか。サイバーエージェントに相談すれば、未開の地に共にチャレンジできる、新しい価値を提供してくれるという期待を抱いていただけている実感があります。

提供する価値のベースは変わらずデジタルマーケティングですが、昨今の企業課題はあらゆる領域を横断するものも多いです。例えばSDGsへの対応やソーシャルグッドな取り組み、NFT・メタバースなどの新たな技術を用いた施策の模索など、ブレイクスルーが必要なトピックがあふれています。こういったあらゆる課題に向き合い、企業が行き詰まったときに相談できる相手としてサイバーエージェントを選んでいただけることを光栄に思います。

強力なパートナーシップが支える技術力と戦略で、広告産業に革命を

──カバーする領域が広がれば広がるほど競合企業も増えていくと思いますが、そこに対する対策方針はありますか。

企業様のデジタルマーケティングをベースとした事業展開は今後も変わらないところ。例えばD2Cであれば商品開発の段階から伴走し、ECサイトでの購入体験をより良くするためのサポートをしますし、不動産業界であれば昨今注目されるメタバース的な技術を用いることで、仮想空間における住宅見学などの体験を作ります。コロナ禍で販売や接客の場がデジタル化されている流れを受け、そこから生まれた課題に対する最適なソリューションを提供するための組織編成や子会社設立などを行っています。

──そうした戦略に、非常に多彩なプロフェッショナルが存在している印象があります。

顧客価値を提供するためなら、あらゆるパートナーと連携するのもサイバーエージェントの強みの一つかもしれません。ありがたいことに、サイバーエージェントと一緒にやりたいと手を挙げてくださるクリエイターやストラジテックプランナーがたくさんいらっしゃいます。

──そうした心強いパートナーとの連携は、なぜ実現するのでしょうか。

私たちは「広告産業の歴史を変えていこう」、「広告効果を最大化して企業や行政に貢献しよう」と約20年前から言い続け、真摯に向き合ってきました。ありきたりな答えかもしれませんが、誠実にやり続けていれば、その姿勢を応援してくださる方々が必ず現れます。

それと協業するパートナーからよくいただくのは、「サイバーエージェントと一緒にやっているとワクワクする、楽しい」という言葉です。その言葉を引き出すのも、おそらくメンバーの誠実さなのかな、と。専門的立場からいただいたアドバイスを受け止め、教えていただいたことはすぐに形にしようと努める。そういうカルチャーがサイバーエージェント全体に浸透しているからこそ、協力してくださる企業が増え、お客様に提供できる価値の幅が広がっていくのだと思います。

業界で著名なクリエイターやサービス提供者とタッグを組んでコンペに参加することも。他の代理店ができなかった提案で、お客様から選ばれ続けている。

広告による価値提供を通じ、一生ものの出会いを体験してほしい

──今後どんな人材と共に働きたいですか。
一言で言えば変化を楽しめる人、かつ好奇心がある人です。お客様となる企業のビジネスや課題はもちろん、その先にいるエンドユーザーの価値観や考えまで好奇心をもって追求できる人は、サイバーエージェントの環境下で成長しやすいでしょう。

──サイバーエージェントで働くメンバーに共通する資質を教えてください。

お客様やユーザーのために一生懸命になれるメンバーが集っていますね。そしてその一生懸命さは、先ほど挙げた好奇心やホスピタリティ精神、そして責任感から生じるものだと思います。もちろんプレイヤーとしての自己成長をモチベーションに働くのも悪くありませんが、一定の役職以上になってからは、仲間やお客様の立場に立った努力ができる人材のほうがサイバーエージェントに適しています。そういう観点で、面接ではチームの中で役割を果たした経験があるかを聞くことが多いです。

これは私の独自の考え方ですが、インターネット広告事業における営業スキルは「お客様の業界理解」と「営業力」、そして「インターネット知識」の三つに分けられます。そして、このうち二つが備わっていると、中途採用者でも比較的成長が早いと考えられます。

現在、サイバーエージェントのインターネット広告事業は、不動産や保険、人材、金融業界の出身など、とても多様なメンバーで構成されています。そうした様々な業界への理解が深い方は、ご自身の経験を活かして取り組めるはずです。

──サイバーエージェントの社風について、長年見てきたからこそ感じることを教えてください。

以前はいわゆる営業気質の強いメンバーが大半を占めていて、「サイバーエージェントはカラオケ&テクノロジーの会社だ」なんて冗談もありましたが(笑)、現在のサイバーエージェントはその頃のイメージとは異なるかもしれません。

クリエイティブチームやエンジニアチームの採用に力を入れたことでその方面に特化した人材が集うとともに、社内クリエイティブスタジオの完備といった投資もしているので、テック企業的なカルチャーが強まったと感じます。人員構成もクリエイティブ人材の割合が増えています。

以前はクリエイティブを追求するなら大手広告代理店に入社という選択が一般的だったと思いますが、現在のサイバーエージェントは選択肢として並ぶほどのレベルを有しているチームや環境があると感じます。

──最後に、サイバーエージェントで働くことの魅力を教えてください。

この仕事の最大の面白さは、お客様との出会いにあります。各企業の事業のコアとなる部分を担うデジタルマーケティング担当の皆さまと、大規模な予算を扱いながら真剣勝負をする。そして結果を出す。こんな体験を一緒にしたら、否が応でも他では得られないような深い絆が生まれます。企業広告に携わる仕事とは、つまりそういうことなんです。

私自身、若い頃からそのような案件に携わってきたことで、たくさんの大切なお客様や仲間と出会ってきました。これまでサポートした企業の担当者の方々や後輩たちが、現在は各業界の筆頭に立ってすばらしい業績を残しています。その姿を見ると嬉しいですし、こうした経験ができる人をもっと増やしたいとも感じます。

多くのクライアント担当者がさらに大きなチャレンジをしていく姿を目の当たりに。社会へ大きな貢献ができるのも、この仕事の楽しいところ。

これからサイバーエージェントで働く人には、「お客様と一生のお付き合いができる、エキサイティングな体験が待ち受けているよ」と伝えたいですね。私も幹部ではありますが、まだまだプレイヤーとしてそんな体験をし続けたいと思っています。サイバーエージェントでしか味わえない仕事を、ぜひ一緒に楽しみましょう。

  • TEXT BY 宿木雪樹
  • PHOTOS BY 安井信介
  • EDIT BY 山本莉会(プレスラボ)