お湯から始まる多角的な幸せを人々と地球へ――給湯機器のリードカンパニー・ノーリツが挑む、真に豊かな暮らしの追求

給湯機器をはじめとした製品群を国内外で展開し、人々の暮らしにさまざまな価値を提供し続けるノーリツ株式会社(以下、ノーリツ)。お湯を通じた「幸せ」を届ける同社は、テクノロジーの進化や環境問題の深刻化といった社会情勢に応じ、新たな挑戦を始めている。

「新しい幸せを、わかすこと。」というミッションに込められた思いは、IoT(モノのインターネット)領域からのアプローチや新領域への事業拡大、そして環境にやさしいビジネスモデルの構想実現など、あらゆる方面から人々に届けられている。その起点となる同社の研究開発職の魅力について、蓄熱商品開発部の責任者を務める鍋島弘樹に聞いた。


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※本取材はオンラインで実施しました。

お湯で届ける“当たり前の幸せ”にさらなる価値を

──はじめにノーリツの会社概要と鍋島様の経歴を教えてください。

ノーリツは「お風呂は人を幸せにする」という創業理念のもと、風呂釜や給湯器の開発を主軸とした事業を展開し、今年創業72年目を迎えました。現在の製品群はガス給湯機器をメインとしつつ、石油給湯機器、ガスと電気のハイブリッド型給湯機器、太陽熱温水器や暖房機器、ガスコンロなど多岐にわたります。

私はノーリツの本社がある兵庫県明石市に生まれ育ち、あたたかなお風呂という当たり前の幸せを人々に届ける事業に魅力を感じ、新卒入社から現在に至るまでノーリツで働いてきました。入社以降は主に商品開発に携わり、国内外に商品を届けたのち、技術戦略を考える部門も数年経験しました。現在は再び商品開発の現場に戻り、蓄熱商品開発部の責任者として省エネ機器の開発に取り組んでいます。

鍋島 弘樹
ノーリツ株式会社 研究開発本部 蓄熱商品開発部

──今回採用強化を図る研究開発職はどのような役割を担うのでしょうか。

研究開発本部は大きく3つの部門 に分けられます。1つ目は商品開発部門で、新商品の設計や実験評価を行って完成品を開発する部門です。2つ目はその商品を構成する要素部品の開発や先行技術の研究を行う部門、そして3つ目は商品の電子基板やソフトウェアの開発にあたるエレクトロニクス開発部門です。研究開発においては、これら3つの部門が相互に連携しながら日々の業務に励んでいます。

商品のフルモデルチェンジはおよそ5~10年に1度の間隔で行いますが、そのほか既存商品のマイナーチェンジは1~5年ごとにあるので、市場ニーズを捉えつつ、それらを実現するための開発に臨んでいます。

お客様の声を集めて商品を企画するマーケティング部は研究開発本部と同フロアで働いているので、日々密に連携しながら開発方針を精査しています。開発職なので技術ベースのアプローチや作り手の思いが強くなる側面はあるものの、やはりお客様のニーズと合致していなければ商品発売には至りません。我々の技術と市場のニーズを掛け合わせつつ、商品を生み出すことを心がけています。

──直近の開発成果として挙げられる商品例はありますか?

2つの除菌機能付きの給湯器は、私たちが直近で開発に取り組んだ商品の一例です。1つは浴槽のお湯をUV照射することで99.9%(※1)以上除菌する技術、もう1つはオゾン水を流してふろ配管を99%以上(※2)除菌する技術であり、それらを搭載した本商品は、従来私たちが届けてきた温水に、さらなる付加価値をもたらしたひとつの成果といえるでしょう。

また、昨今はDX(デジタルトランスフォーメーション)やIoTといったキーワードをよく目にしますが、給湯器もそうした時代の変化に追随する技術革新に挑んでいかなければなりません。そういった観点でトピックを挙げると、給湯器のリモコンをWi-Fiに接続してアプリから遠隔操作できる機能や、入浴・退浴の状況を把握することで高齢者の見まもりを行うサービスなど、ネットワークやデータ解析を活かしたサービス展開にも取り組んでいます。

「わかすアプリ」で外出先からも給湯機器の操作ができる

※ 1 [試験機関](株)衛生微生物研究センター[試験番号]2021D-BT-10075[試験方法]UV除菌ユニットを通過前後の試験液の菌数を測定。流量9.5L/min。[試験結果]99.9%以上除菌。(実使用での実証効果ではありません。使用環境により効果は異なります。)

※ 2 [試験機関](株)衛生微生物研究センター[試験番号]2022D-BT-80009[試験方法]内壁に試験菌液を付着させたふろ配管に対し「オゾン水配管クリーン」を実施。

[試験結果]未実施時との比較で生菌数が99%以上減少。(実使用での実証効果ではありません。使用環境により効果は異なります。)

国内外にサステナブルな“新しい幸せ”を広げていく

──「新しい幸せを、わかすこと。」というミッションに込められた思いや、ミッション実現のために注力していることについてお聞かせください。

まず、私たちはこれまで届けてきた温水という当たり前のものを、これからも不便なくお客様に届け続けることを使命としています。あまりに当たり前だからこそお客様にはなかなかその価値を実感してもらいづらいのですが、それほど生活に浸透した幸せを提供し続けることこそ私たちの存在意義とも言えるでしょう。

そうした前提を踏まえ、カーボンニュートラル社会の実現や社会課題解決、豊かで快適な暮らしをつくるための目標を掲げ、「新しい幸せ」の在り方を考えるのが、ミッションに込められた思いです。研究開発職のメンバーは、このミッション実現に資する新技術を開拓しつつ、少しでも社会貢献につながるような付加価値を追求し続けています。

注力するテーマのひとつとして挙げられるのは、ヘルスケア領域からのアプローチです。入浴には温熱効果のほか、浮力によるリラックス効果など健康促進につながる効果があると言われています。私たちもそういった健康増進、ストレス・疲労の緩和といった視点を重視しつつ、今後の商品をアップデートしていこうとしています。
反面、高齢者の死亡事故など、入浴中の事故が後を絶たないことも重要な課題です。これまで入浴事故は真の原因を突き止めることが難しかったのですが、これからは入浴時のデータ解析により、入浴事故防止に対して効果的なアプローチが取れると考えています。より安全な入浴を実現するため、デジタル技術を組み合わせた研究に今後注力していく予定です。

──事業戦略面としては海外事業の拡大にも力を入れるそうですが、どのような勝ち筋を描いているのでしょうか。

海外事業について語るとき、入浴は日本独自の文化であることが大前提にあります。先ほどお伝えした入浴事故軽減などのテーマに関しても、先行するデータや研究成果がそれほど多くないのは、そもそも入浴が日本以外の国で一般的ではない背景があるのです。

見方を変えれば、給湯機器やお風呂に関する市場において、日本企業は優位に戦うことができます。まずはお湯、もしくはお湯を活用した商品の良さを海外の方々に伝えて、そこから海外における給湯機器の利用シーンを広げていくことができれば、ノーリツの技術は世界をリードするものになるはずです。

各国の給湯事情を鑑みると今後の市場拡大の確度は非常に高いと考えています。例えば米国ではお湯をタンクにためる給湯器機が主流ですが、ノーリツの商品は瞬時にお湯を沸かせる点でそれらと差別化を図れます。また、中国では、エネルギーが石炭からガスに変わっていく過渡期でもあるため、ノーリツが提供するガス給湯器の需要は高まっていきます。さらにノーリツは、電気とガスを併用した省エネ性の非常に高いハイブリッド型の給湯器も開発・販売しており、電気エネルギーの活用ニーズにも応えることができます。

NORITZのハイブリッド給湯システム。日本から世界へと「瞬時にお湯を沸かす」技術を届ける

──同じく注力テーマとして掲げられている、非住宅分野への拡販についても聞かせてください。

私たちが主に販売している商品群は、住宅をはじめ学校やホテルなど人が使う施設に着目したものです。そのシェアは、既に半数以上を取ることに成功しています。一方、工場などの非対人の分野に関しては、まだ市場開拓の余地が残されています。工場にも食品、鉄鋼などさまざまな種類があるので、それぞれのニーズに対してどのような価値を提供できるか、技術的な面で模索している最中です。

──環境面での注力テーマである「循環型ビジネスモデル」については、どのような構想を描いていますか。

私たちの事業を語る上で、資源問題は避けては通れません。昨今はサーキュラーエコノミー(循環型経済)といったキーワードをよく聞きますが、私たちもそういった思想を取り入れたビジネスモデルを作ろうと試みています。

一番理想的なのは、私たちが使った資源をそのまま自分たちのところに戻し、また使うというサイクルを作れることです。さまざまな循環モデルの在り方が検討されていますが、現状は自社の給湯器を回収し、それを分解してリサイクルする流れについては、既に実現できています。

人々が幸せであり続けるため、難題に挑みながら多角的に社会へ貢献する

──改めて、ノーリツで働くことの魅力をどんなところに感じますか。

ここまで何度かお伝えした言葉ですが、ノーリツの魅力は「当たり前の幸せを届けられる」ことに尽きます。人々がお湯を自由に使える環境を支えることは、入社当初から一貫して一番のやりがいにつながっていますね。

また、研究開発本部は和気あいあいとした雰囲気で、風通しの良いチームです。アイデアを出し合いながらフラットに議論できるチームなので、働きやすいと感じています。そうしたカルチャーに加え、トライアル制度という仕組みがあります。自分がやりたいアイデアを役員にプレゼンし、アイデアが採用されたら、その研究に専任で取り組むことができるのです。

先に挙げたオゾン水による除菌機能付き給湯器も、実はこのトライアル制度から商品が生まれた一例です。こうした制度も充実した環境なので、ノーリツは自ら手を挙げて挑戦する機会がたくさんあると言えますね。

高効率ガスふろ給湯器GT-C72シリーズ(2023年7月発売)

──どのような素養がある人とともに働きたいですか?

第一に、私たちのミッションに共感していただける方が良いと思います。その上で、既存の技術進化を深めていくだけでなく、新しいアイデアを探索し、事業拡大につなげるような動きをしてくれる方と一緒に働きたいです。今後は新規事業開拓に特に力を入れていくことを事業方針として掲げているので、アイデアを主体的に出してくれる方が望ましいですね。

──最後に、御社をご検討されている方にメッセージをお願いできますでしょうか。

ノーリツは環境に深く関わる企業です。私たちの商品が日本全体の約1.3%程度のCO2を排出していることを念頭におきつつ、環境問題に対して先頭を切ってアンサーを出していくことは、今後極めて重要な課題になっていくでしょう。

ここを乗り越えた先には、温暖化を抑え、地球環境が保たれるという大きな成果が期待できます。難度は高い一方、社会貢献度も非常に高いこの課題に、ともに向き合える仲間を求めています。

<関連コンテンツ>

「新しい幸せをわかす」を実践している社員たちの想い(技術職職員座談会)

ノーリツでの先輩後輩の関係を教えてください!(開発部クロストーク)


  • TEXT BY 宿木屋
  • EDIT BY 小田川菜津子(Eight)・プレスラボ
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