お客様のビジネスの変革を実現するためには、さらなる成長が不可欠。世の中にインパクトをもたらすエンタープライズ営業の魅力

2000年に米国から日本に進出し、クラウドベースの顧客管理システム(CRM)や営業支援システム(SFA)といえば一番に名前が上がるほど多くの企業に導入されているセールスフォース・ドットコム(以下、Salesforce)。同社は、買収や製品の開発により新規領域や新規アカウントの開拓で現在もシェアを着実に広げると同時に、組織も順調に拡大している。

マーケット拡大の大きな責務を担うSalesforceの営業には、確かな営業力と業界の変化に対応するスピード感が求められる。その一方で、独自の成長できる「環境」と、「働きがい」がある。

大手日系SIerから転職して数年、今年からマネジメントに昇格した及川和幸、水野佳世子の2名に現在までのエピソードを聞き、Salesforceという会社の環境や社風、テクノロジー先進企業としてのやりがいなどを紐解いた。


一緒に働きたいと思う、憧れる営業像がたくさんあった

――おふたりは、2021年2月からマネジメントの立場になったという共通点がありますね。初めにこれまでのキャリアと、担当されている部門の紹介をいただけますか。

及川和幸(以下、及川):新卒で大手日系SIerに入社し、金融機関向けのアカウント営業として14年ほど従事しました。Salesforceへは2016年に転職し、現在は前職で経験していたの金融業界とは全く異なる、「プロフェッショナルサービスインダストリー」を担当しています。

プロフェッショナルサービスインダストリーとは、人を生業にしているマーケットのこと。もともとはSalesforceが導入されていなかった業界で、マーケット開拓を専任としては1人で担当していたのですが、次第に導入企業も増えてきたことにより、今年2月からそのインダストリーのマネージャーを任されることになりました。

及川和幸
コンシューマ・サービス・通信・メディア・公益営業統括本部 第二営業本部 プロフェッショナルサービス営業部 部長。大学卒業後、大手日系SIerにて銀行・証券のアカウント営業として14年間従事。2016年8月セールスフォース・ドットコムへ転職。大手・準大手企業向け営業を経験。2021年2月より現職、エンタープライズ向けプロフェッショナルサービス業界を担当。

水野佳世子(以下、水野):私は新卒で大手日系SIerに入社し、自治体向けの営業を担当していました。その後、2017年1月にセールスフォースに転職。官公庁向けの営業を4年間担当してから、現在は地域創生や金融機関、自治体、NPO向けの営業を行うチームのマネジメントをしています。

――入社の決め手は何だったのでしょうか。

及川:前職ではずっとスクラッチシステムの案件を中心に担当していたのですが、世の中の流れがスクラッチからクラウドへシフトしてきているのを感じ、クラウドのベンダーに興味を持ちました。

Salesforceの採用面接を受けたきっかけは、前職の元同僚からの誘いでしたが、中でも一番魅力を感じたのは「人」。憧れるリーダー像、憧れる営業像といえるような人たちが多く、この人たちと一緒に仕事がしたいと思ったんです。

水野:私は前職でも自治体向けの営業をしていたのですが、自治体の業務には当時扱っていた個別で開発するスクラッチシステムよりも、仕組みを横展開できるSaaSの方が向いていると考えていました。その際に、弊社の創業者であるマーク・ベニオフの著書『クラウド誕生』を読んで、自治体がこれを導入すれば前職のSIビジネスが難しくなるではというぐらいの衝撃を受けたんです。

また、経営トップから「V2MOM」(*)でポリシーや会社の方向性がどんどん降りてくる点も魅力に思いました。上司、そのまた上司とトップに近づくほど、何を考えているかがなかなか見えづらい日系企業とは違い、会社としての方向性が明確ですごく動きやすそうだなあと。加えて、ビジネスをしながら社会を変えていくという考え方にも感銘を受けました。大学時代に貧困や社会格差の勉強をしていたこともあり、その解答がここにあると感じられ、すごい会社だと思ったんです。

(*)ビジョン(Vision)、価値(Values)、方法(Methods)、障害(Obstacles)、基準(Measures)の頭文字からなるSalesforce独自の目標管理手法

そんなとき、結婚・出産を経て営業からバックオフィスへ部署を異動することになりました。幼い子どもがいる中で営業をするのは負担が大きいだろうからと、厚意で異動させてくれたのですが、働き方や部署の環境がガラリと変わってしまい正直戸惑いましたね。営業のように分かりやすいKPIがなく、子育てをしているとなかなか評価されづらく……転職を考えるようになったのです。

水野佳世子
エンタープライズ金融・地域DX営業統括本部 金融・地域DX営業本部 第4営業部 部長。大学卒業後、大手日系SIerにて自治体向け営業を担当。2017年1月セールスフォース・ドットコムに入社し、官公庁向け営業を4年間担当。 2021年2月より現職、地域創生、金融機関、自治体、NPOを担当。

――入社してみて、どのような印象を持ちましたか。

及川:外資なので、入社前は正直成果主義で厳しいイメージを持っていました。実際は、営業として成果に対する評価はもちろん重要視されますが、むしろ日系企業とほとんど変わらず、あるいはそれ以上にプロセスを見てくれると感じています。ただ、スピード感が格段に速いので、そこへの適応にはかなり苦労しましたね。

水野:スピード感は日系とは比べものにならないですよね。弊社は営業目標も決して低くはありませんし、予算達成するには、日々の活動量や1回1回の提案の質を高める必要がある。10回も20回も通ってお客様との距離を縮めるのではなく、本当に価値のある提案をしなければならないんです。

私は入社して感じたのは、営業として真に「プロフェッショナル」が求められているということ。私は前職でも成績を出せていた方だったと自負していますが、Salesforceで求められるものは非常に高いので、さらに磨きをかける必要がありました。もちろん、みんな入社時はからできるはずはありません。そこはマネジャーが入社後教えていくところなので、時間をかけて伸ばしていけばいいと考えています。

一方で働く環境としては、皆が集中して仕事をし、やるべきことにフォーカスする風土があります。残業をする風土はなく、短時間で濃度の高い仕事をする人ばかりで、自分に合った働き方ができる場だと感じています。

スピーディーにDX化を、全社的な経営課題解決のニーズが高まっている

――おふたりが所属されている部署のミッションについても教えてください。

及川:プロフェッショナルサービスインダストリーを日本でもっと盛り上げることが我々のチームのミッションです。この領域は、海外では主要のインダストリーとして認知されていますが、日本ではまだまだ前例が少ない状態。そこで、海外事例を参考に日本でのアセット化を行い、イベントを開催するなど、Salesforceで業界全体を変えていきたいと考えています。

水野:私たちの部署では、最近変化が求められてきている自治体に対して、Salesforceを利用したDX化の推進を行なっています。また、地方創生にも寄与することを目的に、自治体のみならず、地方創生の主要プレイヤーの一つである地域の企業を支援している地銀もお客様としています。

地方創生の面では、最近いわれる地域観光経営のように、1社1社がSalesforceを導入して業務改善するだけでなく、地域を一つの「面」として捉え、たとえば地方銀行やDMO(観光地域づくり法人)、自治体が観光客のCRMを持ち、地域活性化に取り組んでいくといったことを目指しています。今はいろいろな会社が地域活性化に参入したいという希望を持っているので、そこに我々ができるソリューションを提案し、形にしていくことが、一つの大きなミッションです。

――コロナ禍やDXの必然性など、ビジネス環境が急速に変化する中で、顧客のニーズはどのように変化しているのでしょうか。

及川:今までの弊社のアプローチは、部門毎の部分最適から始まり、全体最適に広げていくという提案シナリオが王道でした。でも今は逆で、経営課題の解決のために一気に全体最適ができないかという相談が多く寄せられています。社長直下でのDX推進の部署もできているほどです。

水野:自治体の方も、ワクチン予約やさまざまな給付金に対応するため、明日にでもSalesforceを導入したいといったニーズが高まっています。企業であっても、業務のデジタル化などコロナ禍を契機に、いつかやろうと思っていたことを今やろうという機運が高まっていますね。

観光業界でも、今まで何もしなくても訪れていた観光客がコロナ禍でなかなか来られなくなったという状況を受けて、観光客に対しても顧客管理をして継続的につながり続けないといけないと考え始めています。マーケティングやCRMの重要性に気づかれ始めているのです。

ビジネスをしながら社会を変えていく、Salesforceの考え方に感銘を受けた水野。地方創生における課題に対し、地域を一つの「面」として捉えたDX化推進という大きなチャンレンジに取り組んでいる。

様々な成功事例をヒントに、お客様の成長とともに営業力も成長

――部門のミッションや変化する顧客のニーズに応えていく中で、Salesforceの営業はどのように成長できるのでしょうか。

水野:先ほど、部分最適から全体最適へシフトしているという話もありましたが、営業としてまずは一部門に製品を導入してSalesforceの良さを体感してもらい、次にそこから全社への導入、そして効果を出してもらうといったように、お客様の成長に沿って営業としても成長ステップを踏んでいくものだと考えています。実際に私の成長ステップもそうだったと思いますし、メンバーにもこのようなステップを踏めるようにアドバイスしています。

及川:たしかに、私が入社した5年前と比べると、一回の受注で上がる売上規模は大きくなっています。知らず知らずのうちに提案規模も大きくなっていますし、現場にはできるだけ大きく提案してもらうことを意識させていますね。

――Salesforceの営業としてのやりがいは、やはりお客様の成長に関われることですか。

及川:そうですね。それから、我々の提案がお客様の中期経営計画や四半期のIR情報に掲載されることがよくあって、我々が作成した企画書の図案がブラッシュアップして掲載されているのを目にすると、非常にやりがいを感じますね。

水野:それから、当社ではお客様との打ち合わせで「すごい!」と言ってもらえる、つまり「Wow」のある提案をすることを心がけていて、それが弊社の営業としての醍醐味でもあります。また、製品はもちろん、CRMやプラットフォームの考え方、開発手法も常に進化しているので、誇りをもって売れる。それによって、以前よりさらに「すごい!」と言っていただける機会が増えているとも感じています。

――中期経営計画やIR情報に掲載されるほどの提案ができるというのは素晴らしいですね。それほどの鋭い提案ができるようになるというのは、どのような成長環境があるからなのでしょうか。

及川:マネージャーからのアドバイス以外にも、「セールスイネーブルメント」という営業向けの教育チームがしっかりサポートし、研修、オンボーディング、提案の質の向上など、長期的に人材育成を行います。私も転職してきてから、この部分が非常にありがたいと感じています。

また、「シェアリングサクセス」という、ほかの営業メンバーの優れた提案手法を体系立てて説明する場が定期的に開かれるほか、資料なども共有されます。他社と比べて、ナレッジや成功事例のノウハウの共有がスピーディーに行われるので、優れた提案ノウハウを自分の中に自然と蓄積し、プラスアルファで自分のエッセンスを付け加えていくことができるんです。営業として能力の立ち上がりが早いのはそれもあるのかなと思います。

ただ、もちろんその人が持つ能力も必要です。私が上司から言われたのは、圧倒的なスピード、巻き込み力、コミットメント力。私も、この3つがあれば十分にやっていけると考えています。

圧倒的なスピード、巻き込み力、コミットメント力、この3つを及川は常に意識している。優れた提案ノウハウが共有される環境があるからこそ、そこで自分のエッセンスをいかに付け加えていけるかも成長の鍵だ。

水野:私は「貪欲に学ぶ」という資質も大切だと思っています。前職のやり方に固執していると成長できなくなっていきます。分からないことや、なぜこれが売れたのかなど、知りたいことがあれば純粋に聞いて構わない風土があるので、そうしないのはもったいないですよね。

――おふたりは、入社からこれまでを改めて振り返って、何が成長したと思われますか。

水野:私は営業力ですね。それと、買収などによって取り扱い製品がどんどん増えていくなかで、新しいテクノロジーをキャッチアップすることが習慣としてできるようになりました。だから、どんな環境でも、どんな製品でも売り続けられるだろうという自信がつきました。

及川:私も同じようなことを感じています。前職では営業先がIT部門に偏っていましたが、弊社では実際に利用する営業などのユーザー部門にも積極的にアプローチできるようになり、営業としてのコミュニケーション力と提案力が格段に上がりました。また、先ほどのコミットメント力、つまり何が何でもやり遂げるという力も相当鍛えられたと思います。

――最後に、ご自身のこれからのキャリアの展望はありますか。

水野:私たちが売っているような最新技術には、本当に社会を変革する可能性が大いにあると考えています。これからもSalesforceで革新的な提案を続け、行政や地銀と一緒に社会をより良くしていきたいです。

及川:今は海外事例を参考に日本でプロフェッショナルサービスインダストリーを立ち上げていますが、日本のマーケット自体をもっと大きく広げることで、日本のマーケットから海外からも注目されるような大きな事例をつくっていきたいですね。

自分たちが売っている最新技術には、社会を変革する可能性が大いにある。その矜持が新しいマーケットを切り開き、先導する推進力となるのだ。
  • TEXT BY 三ツ井香菜
  • PHOTOS BY 吉田和生
  • EDIT BY 山本莉会(プレスラボ)
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