すべては「美味い、酒を飲む」ために。圧倒的成果を出し続けるデジタルマーケティングカンパニー・MOLTSの哲学

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美味い、酒を飲む──。

大真面目にそんな理念を掲げる会社がある。その名は「MOLTS」。

デジタルマーケティングの領域で圧倒的な成果を残している同社は、メンバー全員が各自の収支を管理する「独立採算制」や、「2030年に解散」を表明したミッションなど、独自のスタイルを持つ。

「正直、合わない人はいます。でも、合う人にとってはめちゃくちゃ快適な職場です」と語るのは、同社創業者であり代表取締役兼CSOの寺倉そめひこ。

創業から5年、彼は一体どのようにこの組織を築いてきたのか。「美味い、酒を飲む」という短い言葉に込められた想い。そこには、MOLTSが選ばれ続ける理由が克明に刻み込まれていた。


宣伝をしないのに引き合いが絶えないのは、「Result Driven」を貫いているから

ーーMOLTSは、一言で表すと何の会社なのでしょうか。

「成果」の達成を軸にクライアントの事業成長を追求し続けている、デジタルマーケティングカンパニーです。僕らはあくまでもデジタルマーケティングを「手段」として捉えていて、自分たちのスタンスを「Result Driven(リザルトドリブン)」と表現しています。

ーー具体的には、どのような成果があるのでしょうか。

大手インフラ系のクライアントのキャンペーンで、目標を圧倒的に超える百億円以上の売り上げを達成するようなこともあれば、複数のD2C事業を新たに立ち上げるクライアントのマーケティング面を支援して、20名以上の広告運用初心者を徹底教育して3ヶ月で自走できる状態にまでしたり、あるいは数千人規模のテレアポ文化のBtoB企業をインバウンドカルチャーに数年かけてシフトさせたり。

特定分野に絞らず、この5年で述べ500以上のプロジェクトをクライアントのパートナーとして伴走してきました。プロジェクトの継続期間は平均1年弱ほどです。

ーー他にも目を引く実績が自社サイトに多数掲載されていますね。これだけの結果を残していると、かなりの引き合いがあるように思われますが。

そうですね。もちろん必要最低限の自社のマーケティング施策は打っていますが、自分たちからは営業じみた発信はあまりせず、実際に「問い合わせ」よりも「紹介」の方が多い状態がずっと続いています。

デジタルマーケティング施策の評判を聞いた知人に「どうしてそんなにマーケティングがうまくいっているの?」と聞かれたクライアントが、他部署や他業種の人にMOLTSを紹介してくださる。そんな好循環が生まれています。

ーー理想的な状態ですね。そもそも、寺倉さんはどのような経緯でMOLTSを設立されたのですか?

前職のLIGで中間管理職を務めていたのですが、元々30名ほどの企業が3年で100名規模へ成長していきました。経営としてもフェーズが変わっていく段階だったので、中間管理職として自分がいない方がさらにLIGが伸びると思ったんですよね。

いざ退職を決めると、複数の大手企業から声をかけていただきました。ただ僕は可能性というものをどこまで広げられるか、自分で確かめてみたくなってしまう性分なので、これ以上既存の枠組みのなかでやっていくのは難しいだろうなと、転職活動の中で思うようになり。色々見た結果、最終的に手元に残ったカードが「独立」だったというのが正直なところですね。

寺倉 そめひこ
株式会社MOLTS代表取締役。1987年、京都生まれ。藍染職人から2013年株式会社LIGに入社。同社でメディア事業部部長、人事部長を経て、2015年9月からは執行役員を務める。2016年3月にデジタルマーケティングカンパニー『MOLTS』を設立し、独立。オウンドメディア、コンテンツマーケティングのアドバイザリー、インハウス化支援、運用代行を軸にし、事業開発、営業組織教育、組織開発など幅広く支援の幅を広げ、累計50社以上の事業成長に貢献する。

あえてMOLTSに入社する、「一人でも生きていける」メンバーたち

――MOLTSには個人の裁量を重視した「独立採算制(*)」という興味深い制度があります。どのような経緯でこの制度を導入したのですか?

独立したときに、まず会社の理念を決めまして。会社の理念って普通は「世の中の課題を解決します」といったように対外的なものだと思うんですけど、それよりも“自分たちのあり方”を大切にしたいなと思いました。

何かを成し遂げたら、僕たち大人は祝杯のビールを飲みますよね?僕は昔からこの達成を味わう感覚がすごく好きだったので、「美味い、酒を飲む」を理念にしようと決めました。MOLTSという「会社」を、高校球児が甲子園を目指すみたいに、同じ目標を目指す「仲間」とやれたら面白いだろうなって。

じゃあ、「そういう会社を誰とやったら楽しいか?」と考えたときに、僕がいちいちメンバーをマネジメントするのは嫌だったんです。だって甲子園優勝を目指しているチームは、トップから強制されて汗水垂らしながら日々練習するわけではないじゃないですか。みんなが同じ目標を持っているから、自ずとお互いに高め合って切磋琢磨するのであって。

会社も同じで、トップダウンのマネジメントがあったら、それは「仲間」ではなくただの「部下」ですよね。そういうことが起こらないようにするためにも、最低限、自分でメシを食っていける人たちと一緒に仕事がしたい。そこで、成果にコミットできる人が働きやすい環境にするために、「メンバー全員、独立採算制」をつくりました。

独立採算制といっても、別に一人で仕事をしていくわけではないですよ。社内売買の制度を使ってお互いに仕事を受発注し、チームでプロジェクトを進めていきます。

(*)メンバー全員が自分の数字(売上 – 売上原価 = 売上総利益)を組み立てて管理する仕組み。基本的に売上総利益の40%が本人に還元される。

――「社内売買」では、社内のメンバー同士の依頼であっても金銭のやり取りが発生するということでしょうか?

その通りです。募集情報は日々チャットワークで投げかけられていて、誰に何を依頼するかは完全に各メンバーの裁量に任されています。依頼された者は、自分の単価や工数を考慮して提案する。それで依頼成立であれば、「社内発注」「社内受注」という形で各自の収支に反映されます。

――なるほど、社員同士が「仲間」でもあり「クライアント」でもあるのですね。

はい。とは言え、新しく加わる方に徹底して伝えているのは、入社すれば自動的に仕事がもらえるわけではないということ。何もしていなくても依頼が来るわけはもちろんなくて、自分のスキルや実績を社内にもアピールしなければ、社内売買は実現しません。「この人、暇そうだから仕事ふってあげよう」という同情も一切禁止です。

MOLTSではアウトバウンド営業の業務はありませんが、社内のメンバーに自分を認知してもらい、任された仕事を通じて信頼を蓄積していくという観点では、リレーションをつくる目的での営業の要素は必要ですね。

――自由な反面、責任も伴うのですね。ところで「一人でも生きていける人」は、どのような動機でMOLTSに入社するのでしょうか?

多くの会社には、とにかく成果にこだわる「成果主義」の人と、与えられた仕事をやっていればいいと考える「プロセス主義」の人が入り混じっているので、前者の人で、自分に十分なインセンティブが入ってこないことを不満に感じて入社するケースはあります。

また、フリーランスでいるよりもMOLTSにいた方が、大きなプロジェクトに参画できる場合が多いので、成長環境に魅力を感じてくれる人もいます。

独立採算制は、成果にコミットできる人が働きやすい環境にするために導入された。

――フリーランスのように裁量をもって働きながら成長環境も得られるのは、確かに魅力的です。

社内にはデータ解析や広告、EC、BtoBマーケ、インサイドセールス、オウンドメディアといった、さまざまな領域のプロフェッショナルがいるので、広告がわからなかったら広告のプロフェッショナルの力を借りられるし、データ解析がわからなければデータ解析のプロフェッショナルに聞けばいいんです。色々な領域のプロがいて、一緒にプロジェクトを高いレベルで遂行できる。これを繰り返しているうちに、自然と知識が蓄積されます。

既存のスキルを深化させるだけでなく、新しい知見もどんどん広げていける。縦にも横にも成長できる環境がMOLTSにはあると思います。

成長という意味では、実は給与もメンバーからの申告制なんですよ。僕は社員の給与を決めることができないんです、社長なのに(笑)。給与額面を40%として、100%が個人に割り当てられた売上総利益のコミット数値になります。たとえば、給与額面が「40万円」であれば、「100万円」が月の売上総利益のコミットラインになります。コミットラインを超えた分は、40%がインセンティブとして付与される。なので、成果を出しているメンバーには、その分しっかりと還元される仕組みになっています。

――成長の伸び代が大きいですね。フィットする人には働きやすそうな職場ですが、数字がなかなか達成できない場合、会社に居づらくなってしまわないのでしょうか。

正直そうした側面もあります。全ての人にこの環境が合うとは思っていませんし、そんな組織はないとも思っています。MOLTSは特に、今まで「プロセス主義」でやってきた人にとって、辛い環境になるのは間違いないでしょう。

「コミットラインを達成してもらうのは入社4ヶ月目から」というルールにしているのですが、辞める人は大体3ヶ月以内に辞めていきますね。独立採算制を導入して日が浅い頃はあまりにも人が定着しなかったので、このやり方を続けていくべきか葛藤した時期もありました。

制度を変えれば、人は残るかもしれません。でも、そうすると会社の“あり方”まで変わってしまう。そう思ってルールを変えずに粘っていたら、この組織を気持ちいいと思う人が入ってくれるようになりました。

もし、MOLTSが“事業”から始まった会社だったら、途中でぶれたかもしれないと思います。そうではなく、“あり方”から始まったのが良かった。美味い酒を飲める会社のつくり方として、このやり方は間違ってなかったと思います。

ミッションを明確にするからこそ、成果に向かって最短距離で走ることができる

――ところで、MOLTSにおける「成果」とは何なのでしょうか?

僕らは「結果」と「成果」を使い分けています。「結果」とは「成果」を達成した先に起きる事象です。例えば、上場企業の事業Aの収益を最大化するプロジェクトがあったとして、「収益を最大化する」という成果を上げれば、決算発表を通して「株価があがる」という結果がついてくる。こういう考え方です。

じゃあ、僕らは常に「成果」のみを追求するのかと言うと、そういうわけでもありません。クライアントの要望は具体的な成果指標に落とし込めることあれば、中長期的な結果論でしか語れないケースもあるからです。何をゴールとするかはその時々によりますが、すべてのプロジェクトに必ず「ミッション」を定めることで目指すべき方向性がブレないようにしています。

――あらかじめミッションを明示せずに始まるプロジェクトも、世の中には多いのではないでしょうか?

共通の目指すべき場所を示せない企業は結構多いですね。餅は餅屋だと思っていて、例えば事業責任者なら、事業として見る分には何を目指すべきか見えても、マーケティング領域に関しては課題すら見えない時に相談されることも多く、そもそもどこを目指すべきかがわからないケースも正直あります。

だからこそ、MOLTSは目指すべきゴールと「ミッション」をめちゃめちゃ明確にします。その方が共通認識をもってプロジェクトに挑めるため、行うべきことがスリム化され、行動も変わり、圧倒的に美味い酒を飲めるからです。

――なるほど。そのミッションはどのように達成していくのですか?

MOLTSはデジタルマーケティングカンパニーなので、目標に対するプロセスを基本的に可視化した上で、ボトルネックを明らかにします。データに基づいて発見した改善ポイントにアプローチすれば、ミッションは達成されます。

以前、ある企業から「内定数を増やすためにエントリー数を増やす施策を打ってほしい」というご依頼を受けた際、データを見るとほとんどの応募者が一次面接の後に辞退していました。一次面接をしていたのは50代の人事部長で、その人が上から目線で年下とわかると話をしてしまっていたことがわかりました。結局、エントリー数を増やす施策をせず、一次面接のフローを変えることで内定数は増え、3ヶ月で取り組む予定だったプロジェクトが3週間で終わりました。

――そんなケースがあったんですね!

これは特殊な例ですが、何が言いたいかというとこのように「なんとなく原因はわかっていても、データが証明していない」ケースは多いので、僕らはそれを見つけていく必要があります。デジタルマーケティングカンパニーと言ってはいますが、クライアントの最終成果の最大化のためには手段や手法に限定されず最適解を考えていくべきだと思っていますね。

――ここにプロフェッショナルの力が活きてくるのですね。ところで、MOLTSの行動規範の中には「ダサいことをしない」という言葉があります。これはどういう意図からでしょうか。

クライアントの成果を追求した結果、エンドにいるユーザーが不幸せになってはいけないということです。同様に、自分の収支のコミットラインを達成できたとしても、クライアントが満足していなかったら意味がない。だってそれじゃ、本当の意味での「美味い、酒」は飲めないですよね?

何がダサくて、何がダサくないか。これはメンバー全員が常に、かつ当たり前に判断できる状態でいなければならないと考えています。

「成果」を追求するからこそ、目指すべきゴールを明確にする。そして、本当に美味い酒を飲むために、何がダサくて、何がダサくないかを問い続けなくてはならない。

2030年に「解散」──縛りがもたらすパワーとチーム感

――「2030年、頂の景色を見ながら、解散」。この特殊なミッションは、どのような背景で設定したのですか?

美味い酒を飲むことをずっと追求していると、 「自分の人生で史上最高の美味い酒ってどうしたら飲めるんだろう?」って考えるんですよね。「これができたら死んでもいいわ〜」と思えることが達成できたら、人生幸せじゃないですか? それを今いる仲間と実現したかったんです。

――ということは、本当に解散するのですか?

本当に解散しますよ。正確には2031年の2月28日、MOLTSの15期目が終わる日にMOLTSはなくなります。

――解散の時期を先に決めれば、より美味い酒を飲めると考えたのですね。

そうです。縛りがもたらすパワーと、そこから生まれるチーム感。それはすごくいいものだと思うんです。

僕は高校時代に野球をやっていたのですが、高校っていいなあと思うんですね。なぜかというと、3年間の縛りがあるから。だからこそ燃えるし、最後までがんばろうって思える。プロ野球と高校野球だったら、後者の方が泣けるじゃないですか(笑)。

――確かにそうですね。でも、一般的に会社は存在し続けることを前提につくられるものだと思うのですが……。

周りの経営者には笑われましたね。よく「従業員はどうするの?」って聞かれるんですが、そこに関しては何の心配もしていません。MOLTSで成果を出してきたメンバーは、そもそも一人でも生きていけるやつらなので、会社が解散したとしても食いっぱぐれることはないでしょう。むしろ独立した方が稼ぎの増えるメンバーばかりですし、そういうところ含めて一緒に人生を楽しめる仲間を増やしていけたら嬉しいですね。

そういえば、「美味い、酒を飲む」という理念をつくったときも笑われました。でも、今はこのミッションをつくって良かったと思うんです。メンバーと「美味い酒飲めてるの?」っていうコミュニケーションができるし、クライアントからも「美味い酒を飲みましょう!」と言ってもらえる。Slackで、「いいね」の代わりにビールのスタンプを送ってくれたりとか。これはすごいことだなと、我ながら思います。

――「美味い、酒を飲む」という理念のパワーが伝わってきました。ちなみに、MOLTSにはお酒を飲めないと入社できないのでしょうか?

そんなことはないですよ!飲めない人は多いですし、僕も正直、そこまでビールが好きなわけじゃない(笑)。飲み会も実際のところほとんどしません。「美味い、酒を飲む」という理念に、あくまで概念として共感できる方に来ていただけたら嬉しいですね。

「実はMOLTSに酒飲みはあまりいないんですよね……(笑)」と語る寺倉。「美味い、「美味い、酒を飲む」とはつまり、MOLTSにとっての仕事の哲学なのだ。
  • TEXT BY 一本麻衣
  • PHOTOS BY 黒羽政士
  • EDIT BY 瀬尾陽(Eight Career Design)
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