想像するのは商品を届けた先のお客様の食卓──激震の飲食業界で、オイシックス・ラ・大地は新しい価値をつくり続ける

降りかかる問題は選べないけど、態度は選べる── 。

有機・特別栽培野菜やミールキット、添加物を極力使わない加工食品、環境に配慮した生活用品などの宅配サービスを展開する、オイシックス・ラ・大地株式会社(以下、オイシックス・ラ・大地)。東証一部上場で、自然派食品宅配の日本最大手と聞いたときのイメージと、社内の雰囲気は少し乖離がある。フットワークは軽く、挑戦を恐れぬスタッフとそれを後押しする文化は、まるでベンチャー企業のようだった。

2020年、新型コロナウイルスの感染拡大は、飲食業界を大きく揺さぶり続けている。今回、お話しをうかがう、神田聡美、熊本隆一、髙野瑶子の3名は、この激震の時期であっても新しい価値をつくるべく邁進した。それぞれの挑戦から見えてくる、オイシックス・ラ・大地のカルチャーを紐解く。


食だけでなく、食と共にあるものを届ける

――まずは、3人それぞれのこれまでのキャリアと現在の仕事の内容を教えてください。

熊本隆一(以下、熊本):いまは「Oisixおうちレストラン」の責任者を務めていますが、飲食業の経験はアルバイトくらいでした。新卒からずっとエンターテイメント業界にいて、ミュージックビデオ、ドラマ、CMなど、映像コンテンツをつくっていたんです。

――まったく違う業界ですね。

熊本:そうですね。この仕事のきっかけは「お客様視点」を学ぶことにありました。映像の仕事にはクライアントがふたりいます。ひとりは、仕事を発注してくれた方。もうひとりはその映像を見る視聴者の方。どちらも大事にしてきましたが、どちらかというと前者に重きを置いてきました。しかし、今後のキャリアを考えると、後者の視点も当然大事になると考えたんです。そこで「お客様視点」や「マーケティング」にどっぷり浸かる仕事をしたいと思い、業界を変えて転職活動をしました。入社したのは2019年11月です。

熊本隆一
2019年11月に中途入社。前職は映像制作会社でプロデューサーとして企画からディレクションまで幅広く担当。その後、顧客視点を大切にしている会社でマーケティングを学びたいと考え、オイシックス・ラ・大地に行き着く。入社後は、Oisixの『産直おとりよせ市場』を担当。『おうちレストラン』は、2020年4月の立ち上げから関わる。

―― 「食」が入社のキーワードになったわけではないのですね。

熊本:「食」そのものというよりも、食によって人と人がつながり、楽しい場が生まれるということに価値を感じています。私の地元は福岡の糸島で、とても農業が盛んな場所です。おいしい野菜が食べられますし、母は栄養士で、家族みんなと家でご飯を食べるのが当たり前でした。私にとって、食とは楽しいものなのです。この「楽しさ」を提供したいということは前職から変わっていないと思います。楽しさに加えて、社会課題の解決という意味でもやりがいを感じています。

――髙野さんは、元々らでぃっしゅぼーやに入社されたんですよね?

髙野瑶子(以下、髙野):はい。私は2005年に新卒で当時のらぃっしゅぼーや株式会社に入社しました。農学部出身なので、農業には強い興味がありましたが、農業に従事するのは難しいなと思い、それなら違う形で関わろうと考えて会社を選びました。

入社から10年ほど、カスタマーサポートの仕事をしていました。カスタマーサポートは基本的に困っているお客様のサポートするいわば受け身的な部署。もう少し自分からサービスの企画や改善をやっていく仕事も経験したいと思い、社内での公募制度をつかって「ママコース」というサービスの商品企画などに1年半ほど携わりました。その後異動し、今はお客様満足度向上委員会の事務局長をやっています。

髙野瑶子
2005年に新卒でらでぃっしゅぼーや(現オイシックス・ラ・大地)に入社。カスタマーサポートの部署でお客様対応やサービスの改善、電話受託センターの立ち上げに長く従事する。その間2度の産休と育休を取得。第二子出産後の復帰のタイミングで、Oisix EC事業本部のママチームに参加し、リーダーとして小さなお子さま向けの新商品の企画や販売促進を手がける。その後Oisixブランド全体のお客様満足度を上げるチームに所属。

今は子どもがいることもあり、食事の大切さ、食卓の大切さをより実感しています。しかし、本当は楽しくして幸せなはずなのに、料理をすることがつらい・きついと感じてしまう社会背景も理解しています。この現状を、できるだけポジティブな方向にしていけるような仕事ができれば、と思っています。

神田聡美(以下、神田):私は2015年に当時のオイシックス株式会社に入社しました。食分野への関心は昔から高かったと思います。「食の楽しさ」とは、食べるだけでなくて食材を買う、メニューを考える、食事をつくる、食べる、といった一連の体験すべてだと思います。そういった食の体験を作り出せるのが、Oisixの強みだと考えて、入社しました。

――どこで買うか、誰から買うか。ともすれば省略されがちなことを、Oisixでは大切にしていますよね。

神田:そうですね。そんな思いで入社して、最初の配属先は社長直下のサービス進化室でした。まだOisixで購入経験のない方に向けて新しいサービスをつくる部署です。ここで必要量の食材とレシピをそろえてお届けし、主菜と副菜が20分で調理できる ミールキット商品「KitOisix」というミールキットの新企画に携わり、事業拡大を目指しさまざまな施策を実施しました。

3年ほどそこで過ごしたあと、Oisix EC事業本部に異動しました。定期会員のお客様向けに販促計画を立て、商品企画などを経験し、今はもう一度KitOisixの部門に戻ってきています。サービス全体の責任者として、現状のサービス改善や新しい価値創造を目指しているところです。

Oisixの人気ミールキット「Kit Oisix」。必要な分だけの食材やレシピ が届けられ、主菜と副菜の2品を20分で完成させることができる。

コロナ禍であっても、挑戦することに価値がある

――3人の共通点は、昨年、新規サービスの立ち上げや、新しいプロジェクトに関わってきたことですよね。それぞれ、立ち上げの経緯や、そこで得た経験について聞かせてください。

神田:私は必要量の食材とレシピをそろえてお届けし、主菜と副菜が20分で調理できる ミールキット商品「Kit Oisix」を担当しています。コロナ禍で料理家さんや大手の飲食チェーンとコラボして新しい商品をつくりました。熊本の話にもありましたが、昨今、外食に行きづらい状況下にあります。本当は外食したいけどできない、自炊に飽きてしまった、そんなお客様の声をたくさんいただきました。それなら、家で簡単に外食や特別な料理を味わえるミールキットをつくろう、となったわけです。

ミールキットには、さまざまな人が関わっていて、社内はもちろん、社外の方ともやりとりが格段に増えました。最初の頃はコミュニケーションがうまく機能せず苦労しましたが、それぞれの部署でスピードを挙げられるように調整し、これまでにないほどのコラボレート商品を開発することができたのは去年の大きな成果でした。コロナ禍前は2〜3ヶ月にひとつを開発するようなペースでしたが、いまでは月にひとつのペースで新商品を発売できるまでになりました。

神田聡美
2015年、オイシックス株式会社(当時)に入社。 サービス進化室でKit Oisixを用いた新規獲得やPRをしたのち、現在はEC事業本部でお客様にやみつきの商品に出会っていただくための 商品体験設計を担当。

――ずいぶん開発スピードがあがりましたね!

神田:そうなんです。私たちの熱量はもちろん高いものでしたが、お客様からの反響もとても大きく、背中を押していただきました。これまではひとつの商品は1週間ほどかけて完売するスピードでしたが、昨年は販売したその日の夜に、すべて売り切れ。「もっとこういう商品を出してほしい」というリクエストもたくさんいただきました。

熊本:私は飲食店の食材をセットにしてお届けする 「おうちレストラン」を担当していますが、人気商品は2〜3日で瞬く間に完売していました。昨年4月に緊急事態宣言が発令され、街の飲食店は窮地に立たされました。同様に人々も家の外に出ることが難しくなりました。両者の課題を解決するため、さまざまな飲食店の看板メニューをおうちで食べられるように商品化し販売したのが、このプロジェクトです。今もそうですが、外食産業の中でもとくに居酒屋業態が深刻なダメージを受けています。これを少しでもサポートしようと、当社の利益はいったん置いておいて支援優先で企画を立てました。

通常は企画からサービス化まで、早くても1ヶ月くらいかかるんです。企画製造はもちろん、商品の撮影やウェブサイト構築などもありますから。しかしこの企画は、「やろう!」という決定から1週間後には販売スタートという怒涛のスケジュールでした。

外食業支援企画「Oisixおうちレストラン」。全国展開している飲食店の「塚田農場」「串カツ田中」の店舗での人気メニュー食材や、体験型農場「KURKKU FIELDS」のこだわり食材など飲食店の食材を販売してきた。

――それだけ急遽の企画だと調整も大変だったのではないでしょうか。

熊本:大変でしたね(笑)。自分たちのことながら、この会社はすごいなと思いました。だって、入社して間もない私に、新規事業の立ち上げを任せるんですから。

がんばった分、手応えも大きかったです。期間限定を想定したのですが、次の企画が待ち遠しいというお客様の声をたくさんいただき、いまはどんどん拡げています。実際、昨年の秋の感染者数が少し落ち着いたタイミングでも売上は落ちませんでした。今年の目標は、支援から事業として継続的な商品にすることです。

――立ち上げの担当として、どんなことを大切にしたのでしょうか。

熊本:当社代表の髙島(オイシックス・ラ・大地株式会社代表取締役 髙島宏平)は、よく「降りかかる問題は選べないけど、態度は選べる」ということを言うんです。私の場合は、とにかくやる(笑)。わからないこと、決まってないことにどんどん取り組みました。すると「そこは私の領域だから引き取りますね」と言ってくれる人が現れて、問題が解決していく。そんな風に進めていきました。

うちの会社は、外からのイメージよりもはるかに、ベンチャー企業のような勢いがあるし、社員がチャレンジできるカルチャーがあると思います。

――髙野さんの取り組みについても教えていただけますか。

髙野:私が去年取り組んだのは、今まで紙でお客様に届けていた納品書やお知らせを電子化するプロジェクトです。これも新型コロナウイルスの感染拡大がきっかけでした。外出が制限されるなかで、ありがたいことに注文が非常に増え、注文から発送のオペレーションを見直さなくてはお届けが追いつかない状況だったんです。もともと実施予定だったお知らせの電子化を前倒し、オペレーションの簡素化を目指しました。

ほぼ白紙状態からスタートし、社内のデザイナーやコーダーとともに内容をつめていくと、電子化にあたっていままで出していなかった情報を集める必要もでてきて、さまざまな部署のスタッフとやりとりしました。

――他部署との連携は大変そうですが……。

髙野:基本的に、どこの部署のスタッフもとても協力的です。よりスムーズに進めるために気をつけたのは、今回の施策のメリットをきちんと説明することですね。今回に限らず、お客様満足度向上委員会は、常にさまざまな部署に調整をお願いする部署です。次の施策の調整にも気持ちよく協力してもらえるように、コミュニケーションを密にする、お客様からの声きちんとフィードバックするなど、日常的に気をつけています。

定性を問う。徹底したお客様視点

――3人のお話に共通していますが、とても早いスピードで施策が展開されていきますよね。このスピード感はなぜ実現できるのでしょうか。

神田:商品化のあらゆる機能を自前で持っているからだと思います。農家さんと直接つながりがあるので食材の調達もスピーディーです。社内には、デザイナーやコーダーもいます。

髙野:外部に委託しているとそう簡単にはいきません。一方、内製することができる領域が大きいと、うまくいくかどうかわからないけど実験的にやってみたいという場合でも、スピーディーに対応できます。こういった条件のおかげで、スタッフが挑戦しやすい環境も担保できていると思います。

――一気通貫でお客様に届けることができるだけでなく、実験と実証のスピードをあげることにも役立つわけですね。

髙野:当社では、困ったことがあればすぐお客様に話を聞くことを大切にしていますが、そのための社内制度も整っています。アンケートが取りたかったら、フォーマットに設問を記入してすれば、集計も 含めて担当者がやってくれます。お客様と直接お話するインタビューも、すぐにできるように体制が組まれているんです。

熊本:お客様へのヒアリングは常に行なっていますね。私たちが一番向き合うべきはお客様なので、そこからいろんなヒントをもらいますし、ペインポイントがわかります。ここに入社してとてもおもしろいなと思っているのが「定性を重視する」点です。もちろん定量も大事にしますが、数字“だけ”で判断することはまずない。むしろ「定量はわからないけど、お客様の声があるならやろう」と判断することが頻繁にあります。

一番向き合うべきはお客様だからこそ、数字“だけ”で判断することはまずないという。むしろ「定性を重視する」のがオイシックス・ラ・大地の独自性とも言える。

――「定性を問われる」って、あまり聞かないですよね。どちらかというと定性的な判断で企画を上司に持っていたら「それで数字は?」と聞かれて頭を抱えるというのが一般的な気がします(笑)。定量は大事にしつつ、お客様の声をもっとも尊重する、ということですね。

提案したいのは食を通じた価値

――お客様の声を大事にしつつも、自分なりのこだわりもあるかと思います。みなさんが働く上で、大切にしていることを教えてください。

神田:「食の楽しさ」を提案したいという思いが強いです。すぐにつくれることや、簡単につくれることだけにフォーカスしてしまっては、食のつくる楽しさや食卓を囲む楽しさが失われてしまう気がするんです。

今まで会ったお客様のことを思い出し「あの人ならこんなふうに喜んでくれるかな」「あの家族ならこんなふうに楽しんでくれるかな」と、具体的な人や家族を思い浮かべながら、食を通じて楽しい体験を届けるために試行錯誤しています。

3人から共通して語られるのは「食の楽しさ」。それがサービスをつくる根幹にある。

――サービスをつくるときに、これまでのお客様の顔が浮かぶというのは、とてもステキですね。

熊本:私は「ピンチなときこそ前のめり」ですね。前職でお世話になった人から言われて以来、自分のモットーにしています。とにかく引かない。ピンチなときほど、積極的に動いて、アクションしていくことを大切にしています。

――となると、この1年はかなり前のめりでしたね。

熊本:そうですね、ずっと前のめりでした(笑)。

髙野:私は「自分はどうしたいのか」を常にはっきりさせることを大切にしています。新卒の頃は自分の意見がなくてよく怒られていました(笑)。だらだらとした説明や、お客様の声を並べても、それを踏まえて自分がどうしたいのがなければ、事態は前に進まない。つい忘れてしまうので、常に意識的に思い出しています。

――3人とも、仕事に関してとても前向きに取り組む姿勢を感じます。社内にもそういった方は多いですか。

神田:そうですね。お客様はもちろん、人を喜ばせるのが好きな人が多いですし、そういう人に向いている職場なのだと思います。熊本さんの企画では串カツ田中とのコラボ商品で、串カツ田中名物のミニゲームを再現したセットを同封しているんです。「これをやったら喜んでくれるだろうな」という視点がなければ生まれない企画だと思います。

――サイコロを振って、出た目によって、値段や量が変わるドリンクですよね。とても遊び心がありますね。

熊本:与えられたミッションをただこなすだけだったら、なかなか生まれないアイデアだと思います。この事例だけのことではないですが、自分の業務スコープのなかで、やるべきことや果たすべきミッションを自分で消化して、自分の責任として進めてやっていけるという人が活躍できる会社だと思います。

髙野:やっぱり、自分が成長することに前向きな人も多いです。いろんなことに挑戦できる土壌はあるし、実際に任せてくれる。経験やスキルを上げていくことの大切さは、経営統合してからより感じるようになりました。

スピーディーに施策が打てるのは、商品化のあらゆる機能を自前で持っているから。そこがオイシックス・ラ・大地の強みであり、スタッフが挑戦しやすい環境の土壌になっている。

神田:商品を届けた先のお客様の食卓を想像することも大事な要素です。例えば、おせち。おせちって1月1日に食卓にあることが大事で、それが届かないなんて嫌ですよね。なので、当社の年末の恒例業務に「おせち飛行隊」というものがあります。職種関係なく20人ほどが待機して、大雪などで遅延が発生することがわかった場合、おせちを持って直接お届けするんです。私は、新卒から4〜5年間は飛行隊でした。でも新人だけがやるわけではなく、役員でも容赦なくアサインされます(笑)

――おせちは特に遅延が許されない商材ですね。

神田:そうなんですよ。数年前でしたが、電車の本数がかなり少ないエリアで遅延が発生してしまって。大晦日の夜、ひとりで無人駅に降り立ったことがあるんです。お届けしたら「電車まで時間があるから上がっていって」とお客様がおっしゃってくれて、一緒に年越しそばもいただきました(笑)。

――心温まるエピソードですね。お客様を思う会社の姿勢が、きちんと届いている証拠だと思います。

神田:昨年から続く状況だけでなく、農作物の不作や、天候起因による出荷遅れなど、突発的にさまざまな課題が湧き上がってくるのがこの会社です。そういう状況に対して前のめりになれる人、カオスな状態もおもしろいと思える人が多いと感じます。

今、お客様のライフスタイルはどんどん変わってきています。私たちに何ができるか、お客さまはどんなことを考えているか、柔軟に対応しどんどん変化できる会社だし、働く私たちもそうでなければならないと考えています。

「食」に携わる限り突発的にさまざまな課題が湧き上がってくる。そのカオスな状況でどれだけ前のめりになれるかが、柔軟に変化していくために必要な姿勢だ。

  • TEXT BY 葛原信太郎
  • PHOTOS BY 須古恵
  • EDIT BY 瀬尾陽(Eight Career Design)

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