一番成長できる場所はどこか━━大手証券会社トップセールスが、不動産テックベンチャーを選んだ理由

大手か、ベンチャーか。もしかしたら、そんな比較は全くもって無意味なのかもしれない。大事なのは、自らが一番成長できる環境に身を置いて、そこで目標を持ち努力し続けること。一つの出会いから理想の場所を見つけた、一人の営業職の転職物語を紹介する。


「テクノロジー×イノベーションで、人々に感動を。」を経営理念に掲げ、「RENOSY」ブランドでProp Tech(不動産テック)を牽引する株式会社GAテクノロジーズ。そんな同社に魅せられた一人の営業職がいる。大手証券会社でトップセールスとして活躍した鈴木雄也だ。新卒入社して1ヶ月目にはトップセールスとなり、転職するまでの2年間の間、誰にもその座を渡さなかったという。

「大手企業を離れ、ベンチャー企業に転職することに不安はなかったのか?」

そんな問いは、彼の前には愚問だったようだ。鈴木が新天地に求めたのは、「自らが成長できる場所」、「働く意義を見いだせる職場」、そして「尊敬できるトップの下で働ける喜び」だ。

現在地を知り、やるべきことを理解する

━━前職の野村證券では、入社1ヶ月目から2年間続けてトップの成績だったそうですね。

はい。同期600人の中で、ずっとトップを維持し続けました。営業という仕事が、自分にはすごく合っているのだと思います。お客様がいないところから開拓し、無関心な状態から興味を持ってもらい、最後はお客様になってもらって何かの商品を購入していただく。まさにゼロからイチを作る仕事で、目の前にいるお客様の変化を感じられるのがすごく面白いし、やっていて本当に楽しいんです。

私は基本的にはポジティブで、ちょっとした成功でもすごく嬉しいと感じるタイプです。自分の中では特別なことは何もしていなくて、ちょっとずつの喜びの積み重ねが、結果的に成果につながって、トップセールスでいられたのだと思っています。

2年間、トップ営業であることを貫いた。「ちょっとしたことでもすごく嬉しいんです」と穏やかに語るその口調から、強さだけでなく素直さもうかがえた。

━━そもそも営業の仕事に興味を持ったきっかけは?

大学ではサッカー部に所属し、プロを目指していました。でもまったく手が届かなかった。ならば、ビジネスの世界ではプロになりたいと思ったんです。

当時から私は、「自分の現状を把握すること」をすごく大事にしていました。今いる場所がわかれば目標までの距離がわかるので、そのギャップを埋めるための努力ができます。だから、ランキングで評価されるような、努力が結果に表れて評価に結びつく環境なら頑張れると思い、唯一浮かんだ証券会社の営業職を選びました。

実は、証券には全く興味がなかったんです(笑)。野村證券を選んだのは、日本で一番の証券会社だから。そこでトップになれば日本で一番になれますから。

━━トップ営業であり続けることは大変ではなかったですか?

単純に、トップになっても「もっと上の世界」を見たいと思っていました。証券会社の1年目、2年目の営業成績なんて、会社全体から見るとまだまだ小さいものです。だからこそ、上の役職の人たちと同じレベルでやりたいと考えていましたし、常に自分よりも優秀な人たちのいる世界を意識していました。

ですから、外資系の金融機関に行って、世界的な企業でトップを目指して働くようなイメージを描いたりもしていました。でも、樋口(GAテクノロジーズ代表・樋口 龍)に会って、気持ちが180度変わったんです。

人生が変わった1時間

━━なぜ、外資系ではなく、ベンチャー企業への転職を決断したのでしょうか。鈴木さんの気持ちを変えたものは一体何だったのですか?

GAテクノロジーズで働いていた大学時代の先輩と久しぶりにお会いした時に、代表取締役社長の樋口と話せる機会を作ってくれたんです。そこで樋口に最初に聞かれたのが、「鈴木さんはなぜプロのサッカー選手になれなかったと思いますか?」ということでした。

才能がなかったとか、努力が足りなかったとか、そんなことを答えたのですが、樋口からしたら「それは違う」と。結論からいうと、「自分が将来どうなりたいのかに気づくのが遅かったからだ」と言われたんです。

世界で活躍するトッププレイヤーたちは、小さい頃から自分が将来どうなりたいのかをイメージしていて、そのために今何をすべきかをずっと考えてきたからこそ、プロとして活躍している。もし小学生の時にプロになりたいと気付いていたら、本当にプロ選手になることができたかもしれない。

そう言われて、すごく腑に落ちたんです。

ビジネスの世界でプロになるためには、社会人としての最初の数年間、つまり人生でいうところの小学生のうちにやるべきことがあると思いました。それは、将来やりたいことが何でもできるようになるための基礎的な力をつけるために、「一番力がつく環境」で働くことです。

代表の樋口に会う前、鈴木はGAテクノロジーズに入社するなんて全く考えていなかった。ただ、樋口からの問いが、自分自身のやるべきことを改めて認識するきっかけとなり、自然と会社自体にも興味を持っていった。

━━その場所が、前の会社でも、外資系金融機関でもなかった、ということですね。

はい。よくよく考えてみると、前職では、設定する営業目標が1年間は一定でした。でも、それはスポーツの世界で考えてみてもありえませんよね。今日5メートルのパスができたら、明日は10メートル、その次は20メートルと目標を上げていくのが当たり前です。

GAテクノロジーズは、50億円、100億円、200億円と年々売り上げが倍増している成長企業です。でも営業の数は比例して倍にはなっていません。となると、限られた人数の中で、一人あたりの生産性が上がっていなければ対応できないですよね。前の月よりも目標は必ず上がる環境であれば、同じ24時間という限られた時間の中で考えて工夫して働く必要があって、それが営業としての力をつけることにつながります。

加えて、市場価値を上げるには営業力だけでなくマネジメントスキルが大事になってきます。ちなみに、今、私は10人のチームをマネジメントしていますが、前職でそれをできるようになるには15年くらいかかります。それくらい、環境が違うのです。

━━それを気づかせてくれた1時間だった。

はい。毎月同じ目標に向かってコンスタントにこなす仕事と、目標が常に上がる環境でマネジメントスキルも磨ける仕事。20代で同じ1年間働いた時に、どっちが自分のためになるかを考えたら、答えは1つでした。それほど転職しようとは考えていなかったのですが、その場で樋口に「働きたい」と伝えたくらいですから(笑)

転職をしたくて樋口と会ったわけではない。しかし、会話をし、いまの自分と振り返ったとき、ここで新しいスタートを切る以外に選択肢はないと確信した。

━━「キツそう」とは思いませんでしたか?

それよりも、焦りの方が先でした。確かにこの2年間は、組織の中でトップを取って気分は良かったのですが、「そんな状況の中で2年間も過ごしてしまった」と焦ったんです。最初からベンチャーに入った方が良かったのかもしれない、と後悔したくらいでした。

大事なのはゴールに近い手段を選ぶこと。だから異業種かどうかさえ気にしませんでした。大企業を辞めることについても、特に何とも思いませんでしたね。それこそ、周りからは「他のベンチャーでもいいのでは?」とも言われましたが、私が気付けなかったことを気づかせてくれて、それを本気でぶつけてくれたのはGAテクノロジーズなので、ここで働きたかったんです。

転職して驚いた「ビジョンに対する意識の高さ」

━━転職後はギャップのようなものはありませんでしたか?

最初は目標が上がっていく感覚が初めてだったので、そこに多少の戸惑いはありました。あと、初めて「自分は営業があんまりできなかったんだ」と思いましたね。目標達成できないことはこれまで一度もなかったのに、半年くらいは達成できない月もありましたから。だけど、「意外と自分はできないのかもしれない」という感覚を持てたことは、逆にすごく良かったです。同時に、前職では単純に目標が低かっただけで、限界に挑戦していなかったのかもしれないとも思いました。

━━目標達成できなかった理由について、ご自身ではどう分析していましたか?

前職は、お客様がすでにお持ちの資産の中で運用に回せる範囲のお金を使って投資していただいていました。少し極端な例ですが、例えば10億円の資産がある人から1億円をお預かりし、運用するとします。変な話、10億円持っている人ですから、そのうちの1億円がなくなってしまっても生活できないほど困るかと言えば、困らないんです。もちろんそんなことはあってはならないですし、そんな気持ちで仕事はしていませんよ。でも、相手からしたら問題がないかもしれない。そう考えると、本当に必要性を説いて1億円の商材を営業していたか、自信が持てませんでした。

でも、今の投資用不動産の営業では、資産が数百万円といった人に対して5000万円、1億円といった大きなローンを組んでもらいます。商品の重さが全然違いますよね。「あるお金」を使うのではなく「ないお金」を使ってもらうわけですから、お客様がメリットやデメリットをきちんと認識しないと買ってくれません。

━━それが、「自分は営業ができていなかった」という先ほどの話ですね。

そうです。そこに気づいてからは数字が安定するようになりましたし、営業として一段上がったと感じています。

前職では2年間トップ営業だったにもかかわらず、「自分は営業ができていない」と感じ、短い期間で目標を上げていくことも厳しさを思い知らされた。しかし「その経験が良かった」と鈴木は振り返る。

━━職場の雰囲気など、環境面での違いはありましたか?

これは入社して驚いたことなんですが、ビジョンに対する意識の高さがまったく違います。当社のビジョンは「世界のトップ企業を創る。」ですが、ほとんどの社員がこれを認識し、モチベーションにつなげて仕事をしているんです。すごくいい環境だなあと思います。私自身も、どうビジョンと向き合うべきかは常に考えていますね。

そもそもビジョン自体も、一人ではなく全員が100%でやらなければ達成できない目標なんです。「WIN-X(共に勝つ)」というGAテクノロジーズグループ共通の行動指針(GA Group Spirits [通称GAGS])がありますが、個人プレーではなく、まさにお互いに高め合ってみんなでやっていこうという雰囲気が当たり前にある。飾られるだけの理念や行動指針ではなく、それで会社が動いているんです。これは、言い換えれば「ちゃんとしたリーダーがいる」ということでもあると思います。

商談でも採用面接でも、とにかく「目の前の人の幸せ」を考える

━━鈴木さんが描く「将来像」とは、どのようなものですか?

言語化するのはなかなか難しいのですが、1つはこの会社で経営に携わること。もう1つはGAテクノロジーズのような会社を自分で作ること。それが理想の状態ですね。

━━それはなぜですか?

私が常に考えていることは、「目の前の人をもっといい状態にしてあげたい」ということなんです。商談の時は、私が提案する商品を買ってもらうことが幸せに繋がると本気で思ってお話ししますし、採用面接を担当させてもらう時も、「うちで働く方が間違いなく幸せになれる」と思いながら声をかけています。

GAテクノロジーズは、テクノロジーを導入することで不動産ビジネスの変革に取り組んでいます。これまで分断していた様々なニーズをワンストップで提供できるソリューションを通じて、人々に感動を与えています。でも私が思うに、当社が提供しているのはそれだけではありません。

働く従業員がやりがいを持って、成長を感じながら仕事ができる環境も提供しています。会社が成長して大きくなれば、世の中に与えられる影響も大きくなりますし、たくさんの人を採用できれば、多くの人に仕事を通じて成長の機会を提供できます。私も、そういう場を作っていきたいんです。

鈴木は将来、自分の会社を持ちたいと語る。それは働く人が成長を実感できるような環境をつくりたいから。それが、社会を活性化させ、良くしていくことにつながると信じている。

━━今後のキャリアについては、どんな風に考えていますか?

今はプレイングマネージャーとして営業とマネジメントに取り組んでいますが、今後は新しいチャレンジとして人事の仕事をやってみたいんです。組織を変えるとか、人を採用するとか、そういうところに関わってみたい気持ちが強くなっています。

もちろん、営業として売り上げ目標を達成し、数字をあげていくことは会社の成長にもつながることなので大事だと思っています。ただ、私が今、10の成果を出せたとして、どう考えてもこの先に100という数字は無理なんです。

だけど、10の成果を出せる人をあと10人増やすことができれば、100という数字は実現可能です。会社の成果を大きくするためには、その方がいい。そういう意味でも、自分がこれまでに培ったものを若い人たちに伝えていくことは、これまで以上に意識していきたいですね。

  • TEXT BY 志村江
  • PHOTOS BY 吉田和生
  • EDIT BY 谷瑞世(BNL)
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